質問主意書

第193回国会(常会)

質問主意書


質問第六一号

日本学術会議の軍事的安全保障研究に関する声明(案)の意味に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十九年三月二十三日

小西 洋之   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   日本学術会議の軍事的安全保障研究に関する声明(案)の意味に関する質問主意書

 日本学術会議のホームページにおいて、「三月七日の委員会での審議を踏まえた改訂版(改訂日:平成二十九年三月九日)」との表記とともに「資料一改訂版(溶け込み):軍事的安全保障研究に関する声明(案)」として掲載されている資料(以下「声明案」という。)の内容について以下、質問する。

一 声明案の中の「上記二つの声明を継承する」との文言の趣旨について、何をどのように継承するのか等その内容を具体的に示した文言を、日本学術会議のホームページに掲載されている平成二十九年三月七日に開催された安全保障と学術に関する検討委員会の議事録(以下「検討委員会議事録」という。)の中から示されたい。

二 検討委員会議事録の二十八ページにおける杉田敦委員長による「ですから、ただ、一方、ここはもちろん研究資金の出所がどこどこであれば包括的に駄目であるということも言っておりません。これも声明は曖昧だという批判をする方々もいると思いますけれども、防衛装備庁だから一切受けるなというふうにここは言っておりません。」との説明は、声明案は防衛装備庁の「安全保障技術研究推進制度」に声明案にある大学等の研究機関が応募することを全面的に否定するものではないとの趣旨であると理解してよいか。

三 検討委員会議事録の十八ページにおける杉田敦委員長による「ただ、今回この委員会で審議したことによって得られたものも、私はあるのではないかというふうに思っているわけです。というのは、五十年声明というのは、軍事目的、戦争を目的とする科学の研究は絶対にこれを行わないという非常に強い文言でございますけれども、では、戦争とは何かということは定義されているわけではありません。実はここのところで、例えば戦争というのは侵略戦争であると、これは一九二八年の不戦条約以来、戦争が違法化された結果、自衛、通常、人々は戦争と呼んでいるものは皆、自衛的な行為とか、自衛権の行使とかいうふうに言われているという、こういう現状に鑑みて、戦争というのは、例えば侵略戦争であるというふうに仮に読んでしまいますと、この五十年宣言は自衛と名が付けばオーケーだと、そういうふうにも読むことは実は可能であるわけでございます。つまり、戦争を目的とする科学の研究は行わないというふうに言っていることだけですと、実はその、この意味内容というのは必ずしも確定しておりません。」との説明について、この「五十年声明」にある戦争という文言を国際法で合法とされている自衛権の行使を含まず侵略戦争という意味に読むという考えと内容的に整合する箇所を、当該「五十年声明」が可決された際の日本学術会議総会の議事録より示されたい。そうした箇所があると認められない場合は、その旨答弁されたい。
 また、検討委員会議事録二十ページにある「六十七年声明」にある戦争との文言についても、これを国際法で合法とされている自衛権の行使を含まず侵略戦争という意味に読むという考えと内容的に整合する箇所を、当該「六十七年声明」が可決された際の日本学術会議総会の議事録より示されたい。そうした箇所があると認められない場合は、その旨答弁されたい。

  右質問する。