質問主意書

第193回国会(常会)

質問主意書


質問第五九号

福島原発事故被災者のデータの管理に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十九年三月二十三日

福島 みずほ   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   福島原発事故被災者のデータの管理に関する質問主意書

 東京電力福島第一原子力発電所の事故(以下「福島原発事故」という。)の被災者や福島原発事故のため故郷から避難して全国各地に転居している避難者のデータ(以下「被災者データ」という。)を一括して管理するシステムをどのような形で、どの行政部門が責任をもって管理していくかが、今後重要な課題となる。被災者データを各省庁や自治体が相互に連携して管理していけば、被災者及び避難者への将来にわたる支援や健康追跡調査などに有益である。
 将来にわたって被災者データが統一的な情報管理の方式で責任部署により確実に保管される必要があると考え、次の通り質問する。

一 被災者データは、総務省、国交省、復興庁などの国の機関及び避難先の自治体で管理されていると考えるが、どのように管理されているか説明されたい。
 その際、管理の対象となる被災者及び避難者の定義を明らかにされたい。また、集積された被災者データがどのように一元管理されているのか、管理されている被災者データの項目にはどのようなものがあるのか、避難者が別の避難先に移転した場合の被災者データのアップデートをどのような仕組みで行っているのか、被災者データの管理の現状について、当該管理に関する方針や規則なども含めて説明されたい。

二 前記一に関して、被災者データが最終的に一元管理されているのであれば、最終責任部署はどこか、被災者データの保存方法は紙媒体か電子媒体か、保存期限はいつまでか、それぞれ明らかにされたい。また、住居形態または住所の変更があっても、さかのぼって避難者の定義から外れないようにすべきと考えるが、被災者データの削除に関する規定の有無と、どのような場合に被災者データを削除するのかを明らかにされたい。

三 被災者及び避難者本人がデータベースにアクセスし、保存されている被災者データの内容を確認することは可能か明らかにされたい。

四 現在、被災証明書及び居住実績証明書は避難元の自治体で発行されているが、これらの書類はクレジットカード作成や公的な手続きに利用できるとされながら、実際には利用できないケースがある。この現状を政府は把握しているか。

五 避難先の自治体において、被災証明書及び居住実績証明書の申請・受取りができるようにすべきと考えるが、そのような計画はあるのか説明されたい。

六 チェルノブイリ原子力発電所の事故後、ウクライナ、その周辺のロシア、ベラルーシでは、いわゆる「チェルノブイリ法」により、同事故によって健康被害を受けた可能性のある人々や、避難や移住を強いられた人々へ補償を行っている。これと同様に、日本においても、福島原発事故の被災者及び避難者に対して「保養、健診、治療、生活、就労」への支援を保障するチェルノブイリ法のような法律を整備する必要があると考えるが、法整備に向けた政府の検討状況を説明されたい。

七 福島原発事故の被災者及び避難者に対する、健康被害の救済や経済的な支援が、今後も継続的に行われる必要があると考える。そのためには、被災者及び避難者の統一的、一元的なデータ管理が将来にわたって実施され、過去にさかのぼってそのデータを的確に把握できる制度作りが重要である。このことについて政府はどのような対策、対応を取っているのか、現状と将来の計画を説明されたい。

  右質問する。