質問主意書

第193回国会(常会)

質問主意書


質問第五〇号

政府の拉致被害者救出に向けた施策に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十九年三月十日

中山 恭子   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   政府の拉致被害者救出に向けた施策に関する質問主意書

 政府の拉致被害者救出に向けた施策に関して質問致します。

一 平成二十九年三月二十五日で、「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会(代表 飯塚繁雄)」(以下「家族会」という。)が結成二十年を迎えます。この間、家族会は、必死の活動を展開してきましたが、平成十四年に五人の拉致被害者を取り戻し、平成十六年にその家族を取り戻したものの、拉致被害者の救出は実現していません。
 拉致被害者の救出が実現していないことについて、政府としてどのように考えているか、お教え下さい。

二 家族会とその支援団体である「北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会(会長 西岡力)」は、結成の直後から「拉致被害者救出を国政の最優先課題にして取り組んで欲しい」と訴えてきました。家族会らが平成十一年五月に開催した第一回国民大集会の正式名称は、「拉致被害者救出を国政の最優先課題にするぞ!国民大集会」でした。
 安倍晋三内閣総理大臣は、平成二十八年九月十七日の家族会との面会では「これからも安倍政権にとって拉致問題の解決は最優先課題であります」、平成二十八年十二月二日の拉致問題に関する四大臣会合では「拉致問題は安倍政権の最重要課題であり、最優先で取り組むという姿勢に何ら変わりはありません」と明言されました。
 政府は、現在も拉致被害者の救出を国政の最優先課題と位置づけているのかどうか、改めてお答え下さい。

三 拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する法律(平成十八年法律第九十六号。以下「北朝鮮人権法」という。)では、第一条で拉致問題の解決を「我が国の喫緊の国民的な課題である」とし、第二条で「日本国民の拉致の問題」を「北朝鮮当局による国家的犯罪行為である」と断定しています。
 北朝鮮による拉致問題の解決に向けた政府の施策は、この北朝鮮人権法第一条及び第二条の認識の上に立って行われていると考えてよろしいか、お答え下さい。

四 北朝鮮人権法は、「国の責務」として、第二条第一項で「国は、北朝鮮当局による国家的犯罪行為である日本国民の拉致の問題(以下「拉致問題」という。)を解決するため、最大限の努力をするものとする。」、同条第二項で「政府は、北朝鮮当局によって拉致され、又は拉致されたことが疑われる日本国民の安否等について国民に対し広く情報の提供を求めるとともに自ら徹底した調査を行い、その帰国の実現に最大限の努力をするものとする。」と規定しています。
 一方、同条第三項では、「政府は、拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題に関し、国民世論の啓発を図るとともに、その実態の解明に努めるものとする。」と規定しており、「北朝鮮当局による人権侵害問題」を、同条第一項及び第二項で、その解決と被害者の帰国に最大限の努力をするとした拉致問題と区別して扱っています。
 北朝鮮による拉致問題の解決に向けた政府の施策は、これら北朝鮮人権法第二条各項の規定に基づいて行われていると考えてよろしいか、お答え下さい。

  右質問する。