質問主意書

第193回国会(常会)

質問主意書


質問第四六号

「テロ」及び「一般の方々」の定義とテロ等準備罪に関する再質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十九年三月三日

山本 太郎   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   「テロ」及び「一般の方々」の定義とテロ等準備罪に関する再質問主意書

 平成二十九年二月十四日に提出した「「テロ」及び「一般の方々」の定義とテロ等準備罪に関する質問主意書」(第百九十三回国会質問第二九号。以下「前回質問主意書」という。)に対する答弁(内閣参質一九三第二九号。以下「前回答弁書」という。)に疑義があるため、以下再質問する。

一 前回答弁書の一についてで「テロリズム」の定義として「特定の主義主張に基づき、国家等にその受入れ等を強要し、又は社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等をいうと承知している。」との答弁があったが、これは「特定の主義主張に基づき、国家等にその受入れ等を強要」すれば「社会に恐怖等を与える目的で行われる人の殺傷行為等」を行わずとも「テロ」に該当し得るとの理解でよいか、政府の見解を明確に示されたい。政府の見解がこの理解と異なる場合、この答弁にある「又は」はどの部分とどの部分を選択的に接続しているのか、該当する部分を明確に示されたい。

二 前記一に関して、前回答弁書の一についてにある、以下の事項に対する政府の認識を網羅的かつ具体的に示されたい。

 1 「国家等」の「等」とは何を指すのか。
 2 「受入れ等」の「等」とは何を指すのか。
 3 「恐怖等」の「等」とは何を指すのか。
 4 「殺傷行為等」の「等」とは何を指すのか。

三 前回質問主意書の二で「ある個人または団体が「テロリスト」である、あるいは、ある個人または団体の行為が「テロリズム」であるとの認定をするのはいかなる機関であるのか」、同じく四で「ある個人または団体が「一般の方々」であるとの認定をするのはいかなる機関であるのか」と質したところ、前回答弁書の二、四及び五についてで、「お尋ねの「認定をする」及び「認定した」の意味するところが必ずしも明らかではない」とされ、答弁がなされなかった。では、今般、国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約第五条1(a)(ⅰ)に規定する行為を犯罪とする法整備(以下「今回の法整備」という。)を行うに当たっては、「ある個人または団体が「テロリスト」である」か否か、「ある個人または団体の行為が「テロリズム」である」か否か、加えて「ある個人または団体が「一般の方々」である」か否かを、いかなる機関が、いかなる根拠のもと、いかなる手段を用いて判断することを想定しているのか、政府の認識を改めて網羅的かつ明確に示されたい。

四 前回答弁書の三についてにある「テロ組織を含む組織的な犯罪集団」との「関わり」について、以下の事項に対する政府の認識を明確に示されたい。

 1 「テロ組織を含む組織的な犯罪集団」に所属している個人との婚姻関係は、この「関わり」に該当するか。
 2 「テロ組織を含む組織的な犯罪集団」に所属している個人との親子関係は、この「関わり」に該当するか。
 3 「テロ組織を含む組織的な犯罪集団」に所属している個人との婚姻関係及び親子関係以外の親族関係は、この「関わり」に該当するか。
 4 「テロ組織を含む組織的な犯罪集団」に所属している個人との職場あるいは学校等における知己関係は、この「関わり」に該当するか。
 5 「テロ組織を含む組織的な犯罪集団」に所属している個人と名刺を相互に交換している関係は、この「関わり」に該当するか。
 6 「テロ組織を含む組織的な犯罪集団」に所属している個人と電子メールアドレスを相互に交換している関係は、この「関わり」に該当するか。
 7 「テロ組織を含む組織的な犯罪集団」に所属している個人との、ツイッターにおける「フォロー」あるいは「フォロワー」関係、フェイスブックにおける「友達」関係、ラインにおける「友だち」関係等、ソーシャルネットワーキングサービスを通じて相互に情報を共有あるいは交換可能な状態にある関係は、この「関わり」に該当するか。
 8 「テロ組織を含む組織的な犯罪集団」との「関わり」について、前記1から7の他にどういった事例が該当するか。

五 前回答弁書の三についてで、菅内閣官房長官の発言及び安倍内閣総理大臣の答弁は、テロ組織を含む組織的な犯罪集団と関わりがない方々が「処罰の対象」とならないことが明確になるよう検討中との趣旨である旨の答弁がなされたが、今回の法整備を行うに当たって、テロ組織を含む組織的な犯罪集団と関わりがない方々が「捜査の対象」とならないことが明確になるような検討はなされているか、政府の見解を明確に示されたい。

  右質問する。