質問主意書

第193回国会(常会)

質問主意書


質問第四三号

安全保障技術研究推進制度(ファンディング制度)に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十九年二月二十七日

牧山 ひろえ   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   安全保障技術研究推進制度(ファンディング制度)に関する質問主意書

 安全保障技術研究推進制度(ファンディング制度)は防衛装備品への適用面から着目される大学、独立行政法人の研究機関や企業等における独創的な研究を発掘し、将来有望な研究を育成するため、平成二十七年度に創設された。大学等の軍事研究に助成を行うこの制度について、平成二十七年度予算に三億円、平成二十八年度予算に六億円が計上され、平成二十九年度予算案では百十億円と実に前年度の十八倍もの金額が計上されている。

一 我が国の科学者の代表機関である日本学術会議では、現在、「安全保障と学術に関する検討委員会」において、安全保障技術研究推進制度の創設を含む現下の状況の変化等を踏まえ、安全保障に関わる事項と学術のあるべき関係について我が国の学術界が採るべき考え方を検討している。本年一月二十三日の同委員会の「審議経過の中間とりまとめ」では、同制度について政府による研究への介入の度合いが大きいとの指摘がされている。また、軍事研究への加担を防ぐため、所属する研究者がこの制度に応募することを禁止する大学も現れるなど、同制度に反対する声も聞こえている。現に、同制度への応募数は、平成二十八年度が四十四件と前年度の百九件から急減している。
 このような状況で同制度の大幅な拡充を行うのは時期尚早ではないか。同制度へのこれらの疑問や反対意見がある中で同制度の大幅な拡充を行うことについて政府の認識を伺う。

二 安全保障技術研究推進制度の予算を増額する財源があるのであれば、反対する声の聞こえる同制度に充てるのではなく、全ての研究者が躊躇無く使用できる学術研究や基礎研究の予算の増額に充てるべきではないかと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

三 安全保障技術研究推進制度においては受託者による研究成果の公表を制限することはない旨が防衛装備庁のホームページに明記されている。しかるに、平成二十八年度の同制度の公募要領では、研究実施期間中の研究成果の公開について防衛装備庁への事前通知が必要とされている。このことから、同制度による研究において我が国の安全保障上の機密となるような成果が生ずることを政府が念頭に置いていることと推察される。
 同制度による研究成果の公表を制限する可能性について、将来の可能性も含め、政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。