質問主意書

第193回国会(常会)

質問主意書


質問第三九号

那覇空港における滑走路の民間航空機と自衛隊機との共同使用に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十九年二月二十三日

糸数 慶子   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   那覇空港における滑走路の民間航空機と自衛隊機との共同使用に関する質問主意書

 那覇空港における滑走路の民間航空機と自衛隊機の共同使用(以下「軍民共用」という。)は、民間航空機の安全上重大な問題がある。那覇空港は、自衛隊の緊急発進等によって絶えず危険な状態であり、最優先されるべき民間航空機の安全が脅かされている。
 本年一月三十日、那覇空港において自衛隊のF15戦闘機の前輪が外れ、滑走路上に停止した。同機が台車で牽引されるまでの約二時間滑走路が封鎖され、同日は四十四便が欠航し、最終的に約一万人の空港利用者に影響が出たとされる。また、本件については本年二月十五日に沖縄県議会で「那覇空港における自衛隊機によるトラブルの再発防止に関する意見書」が可決され、政府に提出されている。
 自衛隊が関係した那覇空港での事故としては、一九八五年に自衛隊機と民間航空機の接触で民間航空機のエンジンが破損した重大なケースがあるが、このほかにも自衛隊機のパンクや滑走路進入により滑走路閉鎖や離着陸のやり直しをする事態がたびたび起こっている。自衛隊機のパンクで那覇空港が一時閉鎖された二〇〇八年には、那覇市や豊見城市の議会が那覇空港の「民間専用化」を求める意見書を全会一致で可決した。「軍民」の多種多様な航空機を管制する特異な状況を解消するためにも、那覇空港の民間専用化を早急に進めるべきであると考える。
 那覇空港の離着陸回数は二〇一四年度で約十五万四千六百回であり、一九八〇年度の約六万九千回から倍以上に増加している。一日当たりの離着陸回数は四百回を超え、第二滑走路が増設されるまで現在の滑走路をどう安全に運用するのかも重要な課題である。上空を米軍、自衛隊、民間の航空機が飛び、滑走路も自衛隊機と民間航空機が共同使用。さらに近年は格安航空会社の参入もあり、過密化が加速している。また、自衛隊のF15戦闘機の配備も二十機から四十機へと増え、E2C早期警戒機も配備されるなど、ますます危険な空港になっている。好調な沖縄観光を背景に航空各社はしのぎを削って沖縄路線に勝負をかけているが、安全性をおろそかにした経済発展はあり得ない。官民を挙げて滑走路の適正運用を目指すべきと考える。
 今、大きな問題となっている那覇空港の軍民共用について、以下質問する。

一 那覇空港における、過去五年間の自衛隊機及び米軍機によるイレギュラー運航、重大インシデント及び事故の発生件数を、それぞれ示されたい。

二 前記の本年一月三十日の事故の発生から四日後にF15戦闘機の飛行が再開されたとのことであるが、再開された時点で同事故の原因は解明されていたのか。解明されていないにもかかわらずF15戦闘機の飛行が再開されたのであればその理由は何か。また、再開に当たり、地元自治体や住民への説明は行ったのか。さらに、今後同様の事故を生じさせないため、いかなる対策を講じているか。以上についての政府の見解を伺う。

三 平成二十九年二月十五日に沖縄県議会が「那覇空港における自衛隊機によるトラブルの再発防止に関する意見書」を可決し、政府に提出しているが、これを受けて政府は今後沖縄県や地元住民に対し、具体的にどのような対応を行うのか、政府の見解を伺う。

四 自衛隊の使用する滑走路と民間の使用する滑走路は分離されるべきであり、那覇空港の需要増大に対しては、同空港の民間専用化を実現することにより対応すべきであると考えるが、政府の見解を伺う。

五 那覇空港における一時間当たりの滑走路処理能力を示されたい。また、一時間当たりの滑走路処理能力を超える時間帯の有無と頻度についても併せて示されたい。

六 平成二十九年一月二十日に統合幕僚監部が公表した「平成28年度3四半期までの緊急発進実施状況について」によれば、南西航空混成団の平成二十八年度の第3四半期までの緊急発進回数が、既に同混成団の平成二十四年度一年間の緊急発進回数の約二倍となっている。この五年間で、自衛隊機の緊急発進により、那覇空港での民間航空機の離着陸が中断された回数と、一回当たりの中断時間を示されたい。

  右質問する。