質問主意書

第193回国会(常会)

質問主意書


質問第一五号

国連安保理決議第二千三百二十一号に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十九年一月二十四日

有田 芳生   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   国連安保理決議第二千三百二十一号に関する質問主意書

 平成二十八年十一月三十日、国連安全保障理事会(以下「国連安保理」とする)において決議第二千三百二十一号(以下「この決議」とする)が全会一致で採択されました。この決議に関連し、日朝間の諸問題について質問いたします。

一 政府は、この決議が全会一致で採択されたことをどのように評価していますか。

二 この決議は、北朝鮮による同年九月九日の核実験を安保理決議違反と認定しています。政府は、北朝鮮による同年九月九日の核実験が平成十四年九月十七日の日朝平壌宣言に違反しているとの認識はお持ちですか。

三 政府は、私が平成二十八年九月二十六日付けで提出した「日朝ストックホルム合意の履行に関する質問主意書」(第百九十二回国会質問第一号)に対する答弁(内閣参質一九二第一号)の一及び二についてで、「北朝鮮との関係に関する政府の方針は、日朝平壌宣言に基づき、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決し、国交正常化を実現していくというものである」としています。
 一方、この決議と同日の外務大臣談話で、日本が国連安保理の理事国としてこの決議の採択に向けて関係国とあらゆるレベルで緊密に協議をしたことが明らかにされています。
 このような、北朝鮮の核、ミサイルに対する国連安保理における日本の断固たる姿勢は、日朝平壌宣言に基づき国交正常化を実現するという方針と矛盾しているのではないですか。政府の見解と方針を明らかにして下さい。

四 日朝平壌宣言に基づき国交正常化を実現するという日本の方針は、昭和四十年六月二十二日に大韓民国との間で調印された日本国と大韓民国との間の基本関係に関する条約(日韓基本条約)第三条の「大韓民国政府は、国際連合総会決議第百九十五号(Ⅲ)に明らかに示されているとおりの朝鮮にある唯一の合法的な政府であることが確認される」に抵触しないのですか。政府の見解を明らかにして下さい。

五 安倍首相は、この決議に関するコメントをこの決議と同日に発表し、「北朝鮮に関する安保理決議として初めて、主文において、北朝鮮にいる人々が受けている深刻な苦難に対し、深い懸念が表明された。これは、拉致問題を始めとする北朝鮮の人権・人道問題に対する国連安保理を含む国際社会の強い懸念が示されたもの」と、この決議を評価しています。
 政府は、この決議にある北朝鮮の人権・人道問題の中に、日朝ストックホルム合意にある一九四五年前後に北朝鮮域内で死亡した日本人の遺骨及び墓地、残留日本人、いわゆる日本人配偶者、拉致被害者及び行方不明者はふくまれていると認識していますか。明らかにして下さい。

  右質問する。