第192回国会(臨時会)
答弁書第五五号 内閣参質一九二第五五号 平成二十八年十二月二十二日 内閣総理大臣 安倍 晋三
参議院議長 伊達 忠一 殿 参議院議員吉川沙織君提出ふるさと納税制度に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員吉川沙織君提出ふるさと納税制度に関する質問に対する答弁書 一及び二について 総務省では地方団体(都道府県、市町村又は特別区をいう。以下同じ。)に対し、「地方税法、同法施行令、同法施行規則の改正等について」(平成二十八年四月一日付け総税企第三十七号総務大臣通知。以下「通知」という。)を発出し、ふるさと納税制度(個人が地方団体に対し寄附を行った場合に、当該寄附に係る寄附金について個人住民税の寄附金税額控除を適用する制度をいう。以下同じ。)に係る寄附金が経済的利益の無償の供与であること及びふるさと納税制度は当該寄附金に通常の寄附金控除に加えて特例控除が適用される制度であることを踏まえ、豊かな地域社会の形成及び住民の福祉の増進に寄与するため、ふるさと納税制度に係る周知、募集等の事務を適切に行うことを地方団体に対し要請している。具体的には、商品券等の金銭類似性の高いものなどふるさと納税制度の趣旨に反するような返礼品を送付する行為を行わないようにすることなどについて要請しているところであるが、通知は各地方団体に対し技術的な助言を行うものであることや、返礼品の送付は各地方団体の判断で行われているものであることから、一義的には、各地方団体における主体的な対応として、通知の趣旨を踏まえ、適切な措置が講じられることを期待している。 三について 御指摘の「ふるさと納税ワンストップ特例制度」(以下「特例制度」という。)に係る寄附金税額控除は平成二十八年度分の個人住民税から適用されており、総務省が地方団体を対象に行った調査によると、平成二十七年度及び平成二十八年度の①ふるさと納税制度の適用を受けた者の人数、②ふるさと納税制度に係る寄附金税額控除額及び③②に係る寄附金額はそれぞれ次のとおりである。 平成二十七年度 ①約四十三万六千人 ②約百八十四億円 ③約三百四十一億円 平成二十八年度 ①約百二十九万五千人 ②約九百九十九億円 ③約千四百七十億円 四及び五について 特例制度は、手続の簡素化によりふるさと納税制度を促進し、地方創生を推進する観点から創設された制度であり、「納税者がふるさと納税の財源の一部を「国にも負担させるか、住んでいる自治体のみに負担させるか」を選択できる」こととする趣旨の制度ではない。 六について 特例制度では、基本的に、地方団体に対する寄附金について確定申告を行うこととした場合にこれにより軽減される所得税の額に相当する額が申告特例控除額として個人住民税から控除される。総務省が地方団体を対象に行った調査によると、平成二十八年度分の個人住民税における申告特例控除額は約四十三億円である。 七について お尋ねについて、総務省が地方団体を対象に行った調査により、各地方団体において平成二十七年度のふるさと納税と整理している寄附金の受入額が大きい上位三団体を、都道府県及び市区町村の別にそれぞれお示しすると次のとおりである。 佐賀県(約五億八千万円) 鳥取県(約三億六千万円) 山形県(約一億六千万円) 宮崎県都城市(約四十二億三千万円) 静岡県焼津市(約三十八億三千万円) 山形県天童市(約三十二億三千万円) また、ふるさと納税制度に係る平成二十八年度分の個人住民税の控除額が大きい上位三団体を、都道府県及び市区町村の別にそれぞれお示しすると次のとおりである。 東京都(約百四億六千万円) 神奈川県(約四十一億三千万円) 大阪府(約三十四億四千万円) 神奈川県横浜市(約三十一億五千万円) 愛知県名古屋市(約十九億二千万円) 大阪府大阪市(約十六億九千万円) 八について ふるさと納税制度において納税者が受けられる個人住民税の寄附金税額控除の額には一定の上限が設けられており、ふるさと納税制度に係る個人住民税の減収が住民への行政サービスに直ちに大きく影響するとは考えられないが、引き続き、地方団体の実情等を踏まえながら、地方団体の減収の動向や財政運営への影響について注視していく。 |