質問主意書

第192回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第五一号

内閣参質一九二第五一号
  平成二十八年十二月二十日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員伊波洋一君提出国際人道法違反が続く宮古島への自衛隊配備に関する再質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員伊波洋一君提出国際人道法違反が続く宮古島への自衛隊配備に関する再質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの「当該市町村に対して避難実施要領のパターンの作成支援を、市町村国民保護計画の作成支援に準じて実施」の意味が必ずしも明らかではないが、避難実施要領のパターンを作成していない市町村(特別区を含む。以下同じ。)が存在する三十九都道府県の国民保護計画では、当該都道府県内の市町村が避難実施要領のパターンを作成する際の都道府県の助言等について記載があるものと承知している。

二について

 平成二十八年四月一日時点において、避難実施要領のパターンを作成していないと政府が把握している市町村の割合(小数点第一位を四捨五入した数字)は、各都道府県ごとにそれぞれ次のとおりである。
 北海道 七十六パーセント
 青森県 七十五パーセント
 岩手県 七十九パーセント
 宮城県 八十三パーセント
 秋田県 六十八パーセント
 山形県 三十一パーセント
 福島県 七十五パーセント
 茨城県 九パーセント
 栃木県 零パーセント
 群馬県 七十七パーセント
 埼玉県 七十六パーセント
 千葉県 六十一パーセント
 東京都 六十八パーセント
 神奈川県 五十二パーセント
 新潟県 六十三パーセント
 富山県 四十七パーセント
 石川県 五パーセント
 福井県 零パーセント
 山梨県 五十九パーセント
 長野県 六十六パーセント
 岐阜県 零パーセント
 静岡県 六十九パーセント
 愛知県 六十七パーセント
 三重県 零パーセント
 滋賀県 六十三パーセント
 京都府 八十五パーセント
 大阪府 七十パーセント
 兵庫県 七十三パーセント
 奈良県 零パーセント
 和歌山県 八十パーセント
 鳥取県 七十四パーセント
 島根県 六十八パーセント
 岡山県 零パーセント
 広島県 六十一パーセント
 山口県 五十三パーセント
 徳島県 二十一パーセント
 香川県 七十一パーセント
 愛媛県 零パーセント
 高知県 八十五パーセント
 福岡県 六十七パーセント
 佐賀県 二十パーセント
 長崎県 四十三パーセント
 熊本県 七十一パーセント
 大分県 四十四パーセント
 宮崎県 零パーセント
 鹿児島県 七十七パーセント
 沖縄県 九十三パーセント

三について

 政府としては、現時点で、全市町村が避難実施要領のパターンを作成し終える目標年を定めることは考えていないが、武力攻撃事態等における避難実施要領のより迅速な策定のために、今後とも引き続き、未作成市町村に対し、避難実施要領のパターンの作成を働きかけてまいりたい。

四について

 沖縄県宮古島市によれば、お尋ねのあった事項については、いずれも把握していないとのことである。

五について

 いかなる事態においていかなる避難実施要領を策定し、又は修正をするかについては、その時点の個別具体的な状況を総合的に勘案して判断すべきものであり、お尋ねについて一概にお答えすることは困難であるが、政府としては、三についてでお答えしたとおり、武力攻撃事態等における避難実施要領のより迅速な策定のために、今後とも引き続き、未作成市町村に対し、避難実施要領のパターンの作成を働きかけてまいりたい。

六について

 御指摘の武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律(平成十六年法律第百十二号。以下「国民保護法」という。)第十条は、国が武力攻撃事態等及び存立危機事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律(平成十五年法律第七十九号。以下「事態対処法」という。)第九条第一項に規定する対処基本方針の策定後に、当該対処基本方針及び国民保護法第三十二条第一項に規定する国民の保護に関する基本指針(以下「基本指針」という。)に基づき、国民の保護のための措置を実施しなければならないことを規定したものであるところ、先の答弁書(平成二十八年十月二十一日内閣参質一九二第九号。以下「前回答弁書」という。)四から八までについてでお答えしたとおり、避難実施要領のパターンについては、基本指針において、市町村が複数の避難実施要領のパターンをあらかじめ作成しておくよう努めるとしているものである。

七について

 前回答弁書四から八までについてでお答えしたとおり、沖縄県宮古島市への自衛隊の部隊の配置に当たっての同市の考え方について、政府としてお答えする立場にない。

八及び九について

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、防衛省では、七百人から八百人程度の隊員で構成される警備部隊、地対艦誘導弾部隊、地対空誘導弾部隊等を宮古島に配置することを念頭に置いており、前回答弁書九についてでお答えしたとおり、これらの部隊配置は、我が国への攻撃を抑止する効果を高めるものであると考えている。

十から十二までについて

 お尋ねの「国際法上の軍事目標」が何を指すのか必ずしも明らかではないが、仮に千九百四十九年八月十二日のジュネーヴ諸条約の国際的な武力紛争の犠牲者の保護に関する追加議定書(議定書I)(平成十六年条約第十二号)第五十二条2における「軍事目標は、物については、その性質、位置、用途又は使用が軍事活動に効果的に資する物であってその全面的又は部分的な破壊、奪取又は無効化がその時点における状況において明確な軍事的利益をもたらすものに限る」との規定を前提としたお尋ねであれば、何が同条2に規定される「軍事目標」に当たるのかについては、実際に武力紛争が生じた場合において、その時点における状況下で判断する必要があるものであるため、お尋ねの平成二十八年十二月九日時点において「軍事目標」に該当するものはなく、また、お尋ねの「中期防衛力整備計画(平成二十六年度~平成三十年度)に基づく防衛力の整備を完了した際」において「軍事目標」に該当するものをお答えすることは困難である。

十三について

 御指摘の「尖閣諸島等においてグレーゾーン事態が発生した場合」の趣旨が必ずしも明らかではなく、お尋ねについて一概に申し上げることは困難である。
 なお、ある事態が、事態対処法第一条に規定する武力攻撃事態等又は事態対処法第二十二条第一項に規定する緊急対処事態に該当すれば、国民保護法等の関係法令に基づき、必要な措置を迅速かつ的確にとることとしている。