質問主意書

第192回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第四九号

内閣参質一九二第四九号
  平成二十八年十二月十三日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員石井苗子君提出災害発生時における保健師の役割に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員石井苗子君提出災害発生時における保健師の役割に関する質問に対する答弁書

一について

 政府としては、地域保健法(昭和二十二年法律第百一号)第四条第一項の規定に基づき策定した地域保健対策の推進に関する基本的な指針(平成六年厚生省告示第三百七十四号。以下「基本指針」という。)において、都道府県及び市町村(特別区を含む。)(以下「都道府県等」という。)が行う地域保健対策において都道府県等が取り組むべき方向の一つとして、大規模災害への備えを含む地域における健康危機管理体制の確保を示しているところである。御指摘の災害時健康危機管理支援チーム養成研修は、自然災害に伴う重大な健康危機が発生した場合に対応するためには被災した都道府県、保健所設置市及び特別区に設置される健康危機管理組織による指揮調整機能を支援する体制を充実強化する必要があることから、御指摘の災害時健康危機管理支援チームの構成員を養成するため、平成二十八年度から開始したものである。今後は、災害対応に関係する厚生労働科学研究の結果やこれまでの災害対応の経験等を踏まえて、当該研修の内容を随時見直していくことで、当該研修の質の改善や受講者数の確保に努めてまいりたい。

二について

 お尋ねの「災害発生時における自治体保健師の役割についての理解」を広げるための取組については、厚生労働省としては、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百四十五条の四第一項の規定に基づく技術的助言である「地域における保健師の保健活動について」(平成二十五年四月十九日付け健発〇四一九第一号厚生労働省健康局長通知。以下「保健活動通知」という。)において、都道府県等に対して、保健師の保健活動において災害時支援、健康危機管理等を実施できるような体制を整備することを求めているところである。また、御指摘の「自治体保健師がこうした研修等に積極的に参加できるような環境を整えるため」の取組については、基本指針において都道府県等が健康危機に対する迅速かつ適切な危機管理を行うことができる人材の育成を行う必要があることを示すこと、保健活動通知において研修を含む保健師の現任教育の体系的な実施等を都道府県等に求めること、国や都道府県等が実施する研修に参加する際の経費等を補助すること等に取り組んでいるところである。

三について

 保健師が御指摘の「災害発生時における保健活動」(以下「災害時保健活動」という。)について学ぶことは重要であると認識している。政府としては、こうした認識の下、御指摘の「大学や養成所等の保健師養成課程」における教育の内容の見直しを行い、平成二十三年度から、健康危機管理を含む「公衆衛生看護学」を保健師助産師看護師学校養成所指定規則(昭和二十六年文部省・厚生省令第一号)第二条に規定する保健師学校養成所の教育の内容の一つに定めているところである。
 大学における災害時保健活動に関係する具体的な教育の内容については、平成二十三年三月十一日に文部科学省の「大学における看護系人材養成の在り方に関する検討会」が取りまとめた最終報告の中で、学士課程修了時までに身に付けるべき看護実践能力として「地域ケアの構築と看護機能の充実を図る能力」が挙げられており、そのための教育の内容として「災害看護活動」及び「被災者に対する安全な環境」が例示されている。同省から保健師等を養成する各大学に対しては、この最終報告の内容を踏まえ、看護学教育の改善充実に努めるよう求めている。
 また、保健師養成所(保健師助産師看護師法(昭和二十三年法律第二百三号)第十九条第二号に規定する保健師養成所をいう。以下同じ。)については、厚生労働省が、地方自治法第二百四十五条の四第一項の規定に基づく技術的助言である「看護師等養成所の運営に関する指導ガイドラインについて」(平成二十七年三月三十一日付け医政発〇三三一第二十一号厚生労働省医政局長通知。以下「ガイドライン通知」という。)の別紙「看護師等養成所の運営に関する指導ガイドライン」(以下「ガイドライン」という。)において、保健師養成所の卒業時の到達目標として「広域的な健康危機(災害・感染症等)管理体制を整える」、「健康危機(感染症・虐待・DV・自殺・災害等)に迅速に対応する」等を定めるとともに、ガイドライン通知において、保健師養成所に対するガイドラインを踏まえた指導及びガイドラインの周知を各都道府県知事に対して求めているところであり、災害時保健活動に関係する教育が行われているものと認識している。