第192回国会(臨時会)
答弁書第二四号 内閣参質一九二第二四号 平成二十八年十一月十一日 内閣総理大臣 安倍 晋三
参議院議長 伊達 忠一 殿 参議院議員伊波洋一君提出千代田カントリークラブへの自衛隊配備に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員伊波洋一君提出千代田カントリークラブへの自衛隊配備に関する質問に対する答弁書 一及び二について お尋ねの「決定地」の意味するところが必ずしも明らかではないが、防衛省では「中期防衛力整備計画(平成二十六年度~平成三十年度)」(平成二十五年十二月十七日閣議決定)に基づき、南西地域の防衛態勢強化の検討を進める中で、宮古島を自衛隊の部隊の配置先の有力な候補地と考えていたことから、平成二十六年六月及び同年十一月、同島内において、様々な観点から現地調査を実施し、その結果等を踏まえ、平成二十七年五月、左藤章前防衛副大臣から下地敏彦宮古島市長に対して、大福牧場及び千代田カントリークラブが陸上自衛隊の部隊の配置先候補地であることを説明したものの、平成二十八年六月、宮古島市議会において、同市長から「防衛省が計画している旧大福牧場周辺については、市民及び多くの議員の水道水源である地下水汚染への懸念等が表明されたことを真摯に受けとめ、旧大福牧場周辺での大型工事が実施された場合、水道水源への影響はないとは言い切れないと判断し、同地域での施設の建設は認めないことにいたしました。宮古島への自衛隊配備については、市民の生命、財産を守り、かつ日本国の平和の安定的維持、国土の保全及び国民の安全を確保する観点から、必要であると考えています。新たな配備場所については、今後防衛省が検討していくものと考えています。」という発言があったことから、同省において配置先候補地について改めて検討した結果、千代田カントリークラブに駐屯地を開設し、隊庁舎、倉庫、宿舎等の施設を整備することとし、同年九月、若宮健嗣防衛副大臣から同市長に対して、千代田カントリークラブにおける施設配置案について説明を行ったところであり、同市長からは、千代田カントリークラブにおける施設配置案に関して、関係法令に基づく申請等が宮古島市に提出されれば、その内容を精査して迅速に処理する旨の発言があったところである。 三について お尋ねの「決定地」及び「宮古島全市民に対する説明責任の履行状況」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「事前質問に対する回答」については、平成二十八年十月十七日に沖縄防衛局ホームページに掲載している。 また、同年六月十二日及び同年十月十八日、宮古島市民を対象に「宮古島市への陸上自衛隊配置に係る住民説明会」を開催するとともに、宮古島への陸上自衛隊の部隊の配置に係る取組状況について、沖縄防衛局広報誌第一五二号、第一五八号及び第一六五号に掲載している。 四について お尋ねの「決定地」及び「土地取得業務」の意味するところが必ずしも明らかではないが、千代田カントリークラブについては、平成二十八年九月、若宮健嗣防衛副大臣から下地敏彦宮古島市長に対して、千代田カントリークラブにおける施設配置案について説明を行い、同市長から千代田カントリークラブにおける施設配置案に関して、関係法令に基づく申請等が宮古島市に提出されれば、その内容を精査して迅速に処理する旨の発言があったことから、同月、千代田カントリークラブの用地取得を行うために必要な手続として「宮古島駐屯地(仮称)用地測量業務」等の入札公告を行っている。 五から七まで、九及び十六について 現時点で、千代田カントリークラブに地対艦誘導弾及び地対空誘導弾を保管する火薬庫及びヘリパッドを配置する計画はなく、将来的な配置についての検討も行っておらず、お尋ねの「覚書」を締結する必要はないと考えている。また、地対艦誘導弾及び地対空誘導弾を保管する火薬庫については、千代田カントリークラブ以外の場所に配置することになるが、具体的な配置場所については現在検討中である。 八について 現時点で、千代田カントリークラブには、警備等に必要な小銃弾等を関係法令に基づき安全に保管するための保管庫を整備する計画であるものの、当該保管庫において保管する具体的な火薬の種類等については、これを明らかにすることは自衛隊の能力等が明らかになることにつながるので、お答えすることは差し控えたい。 十から十二までについて 現時点で、陸上自衛隊に導入する垂直離着陸機V二二オスプレイ(以下「V二二」という。)の具体的な運用の計画はなく、また、航空自衛隊宮古島分屯基地のヘリポートにおいてV二二を離着陸させるための技術的な検討は行っていないことから、お答えすることは困難である。 十三について お尋ねの「ヘリポート耐荷重」の意味するところが必ずしも明らかではないが、ヘリポートの設計に必要なV二二に関する諸元については、これを明らかにすることにより、今後の運用に支障を及ぼすおそれがあることから、お答えすることは差し控えたい。 十四について 水陸機動団の運用のための訓練には、V二二を使用することも想定されるが、具体的な訓練の内容について、現時点でお答えすることは困難である。 十五について 御指摘の「一時的なオスプレイ訓練配備」の意味するところが必ずしも明らかではないが、現時点で宮古島にV二二を配備する計画はなく、将来的な配備についての検討も行っていない。 十七及び二十二について お尋ねの宮古島への自衛隊の部隊の配置については、我が国への攻撃を抑止する効果を高めるものであると考えている。 また、武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律(平成十六年法律第百十二号。以下「国民保護法」という。)第三十二条第一項に規定する国民の保護に関する基本指針(以下「基本指針」という。)においては、弾道ミサイル攻撃を武力攻撃事態の一類型として想定しているところである。 十八及び十九について お尋ねの「同法及び同法に基づき作成された同計画との適合性」の意味するところが必ずしも明らかではないが、先の答弁書(平成二十八年十月二十一日内閣参質一九二第九号)四から八までについてでお答えしたとおり、避難実施要領のパターンについては、基本指針において、市町村が複数の避難実施要領のパターンをあらかじめ作成しておくよう努めるとしているものであり、避難実施要領のパターンを作成していないこと自体が国民保護法に違反するものではない。 また、お尋ねの「同市と協働」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、武力攻撃事態等における避難実施要領のより迅速な策定のために、今後とも引き続き、未作成市町村に対し、避難実施要領のパターンの作成を働きかけてまいりたい。 二十及び二十一について 武力攻撃事態(武力攻撃事態等及び存立危機事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律(平成十五年法律第七十九号。以下「事態対処法」という。)第二条第二号に規定する武力攻撃事態をいう。)及び緊急対処事態(事態対処法第二十二条第一項に規定する緊急対処事態をいう。)における国民の被害には様々な場合があり、個別具体的な判断が必要と考えている。いずれにせよ、このような被害に対する補償の問題については、当該事態終了後に政府全体で検討すべきものと考えている。 二十三について 千代田カントリークラブの用地取得に係る予算額については、これを明らかにすることにより、今後の地権者との用地交渉に支障を及ぼすおそれがあることから、お答えを差し控えたい。 |