質問主意書

第192回国会(臨時会)

質問主意書


質問第九九号

横畠内閣法制局長官の平成二十六年五月三十日の時点における昭和四十七年政府見解の理解に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十八年十二月十四日

小西 洋之   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   横畠内閣法制局長官の平成二十六年五月三十日の時点における昭和四十七年政府見解の理解に関する質問主意書

 横畠内閣法制局長官は平成二十六年五月三十日の衆議院外務委員会での質疑において、「御指摘のありました、昭和四十七年の参議院決算委員会に提出された政府統一見解や昭和五十六年の稲葉誠一衆議院議員に対する政府答弁書で示しております憲法第九条に関する従来からの政府の基本的な考え方は、憲法第九条は、その文言からすると、国際関係における武力行使を一切禁じているように見えるが、憲法前文で確認している国民の平和的生存権や、第十三条が生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利は国政の上で最大の尊重を必要とする旨定めている趣旨を踏まえて考えると、憲法第九条が、我が国が自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な自衛の措置をとることまでをも禁じているとは解されず、いわゆる自衛権発動の三要件を満たす場合に武力を行使することは例外的に認められているということでございます。このような武力の行使は、国際法上、個別的自衛権の行使に当たるものであり、他方、集団的自衛権は、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにかかわらず、実力をもって阻止することが正当化される権利であり、他国に加えられた武力攻撃を実力をもって阻止することを内容とするものであるため、そのような武力の行使は憲法上許されないと解してきているところでございます。」と答弁している。

一 この答弁の趣旨について説明されたい。この答弁は、限定的な集団的自衛権行使が違憲であることを法理として示すものであると理解してよいか。

二 この答弁においては、「昭和四十七年の参議院決算委員会に提出された政府統一見解で示している憲法第九条に関する従来からの政府の基本的な考え方は、いわゆる自衛権発動の三要件を満たす場合に武力を行使することは例外的に認められている。このような武力の行使は、国際法上、個別的自衛権の行使に当たるものであり、他方、集団的自衛権の行使は、他国に加えられた武力攻撃を実力をもって阻止することを内容とするものであるため、憲法上許されない」旨を述べているものであるから、この答弁当時、横畠内閣法制局長官においては、いわゆる昭和四十七年政府見解の中には限定的な集団的自衛権行使を許容する憲法九条解釈の基本的な論理は存在しないと理解していたものと解されるが、そのような理解でよいか。

三 同日の答弁において、横畠内閣法制局長官は「純粋に一般論としてお答えいたしますが、基本的な部分は変えないということはもう方針でございます。仮に、全く仮にでございますけれども、結論が変われば結論は変わるということであろうと思います。」と答弁しているが、限定的な集団的自衛権行使を許容した政府の憲法解釈の変更によって、昭和四十七年政府見解における「基本的な部分」は変わったのではないか。また、当該解釈変更によって昭和四十七年政府見解の結論は変わったのか。変わったのであればそれによって結論はどのように変わったのかを示されたい。

四 横畠内閣法制局長官が、昭和四十七年政府見解の中に限定的な集団的自衛権行使を許容する憲法九条解釈の基本的な論理なるものが存在すると気付いたのは平成何年の何月の何日頃か。具体的な日付を示すことができない場合は、どのような機会にそうした気付きに至ったのか具体的に示されたい。

  右質問する。