質問主意書

第192回国会(臨時会)

質問主意書


質問第九八号

横畠内閣法制局長官の平成二十六年六月十二日の時点における昭和四十七年政府見解の理解に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十八年十二月十四日

小西 洋之   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   横畠内閣法制局長官の平成二十六年六月十二日の時点における昭和四十七年政府見解の理解に関する質問主意書

 平成二十六年六月十二日の参議院外交防衛委員会の質疑において、質疑者の「一九七二年の政府見解でございますが、自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な自衛のための措置に限って集団的自衛権を行使できるという考え方は、現行の解釈では憲法上許されるのかどうか、お答えいただきます。」との質問に対し、横畠内閣法制局長官は「御指摘の昭和四十七年の政府見解は、憲法第九条の下において我が国に対する武力攻撃が発生した場合には例外的に武力の行使が許されるとするその理由、考え方を述べたものでございます。お尋ねは集団的自衛権の行使に関わるものでございますが、いわゆる限定的な場合における集団的自衛権の行使の問題につきましては、総理から示された基本的方向性に基づいて現在与党協議が進められているところであり、現時点において予断的なことを申し上げることは差し控えたいと思います。」と答弁し、さらに、「先ほどお答えしたとおり、昭和四十七年の政府見解は、憲法第九条の下において我が国に対する武力攻撃が発生した場合、すなわち個別的自衛権の発動に限り武力の行使が許されるとする説明をしたものでございます。」と答弁し、さらには、「御指摘の昭和四十七年の政府見解は、集団的自衛権の行使が許されるとするものではございません。」と答弁している。
 これらの答弁を踏まえ質問する。

一 横畠内閣法制局長官の「昭和四十七年の政府見解は、憲法第九条の下において我が国に対する武力攻撃が発生した場合には例外的に武力の行使が許されるとするその理由、考え方を述べたもの」、「昭和四十七年の政府見解は、憲法第九条の下において我が国に対する武力攻撃が発生した場合、すなわち個別的自衛権の発動に限り武力の行使が許されるとする説明をしたもの」との答弁内容からは、この答弁当時、横畠内閣法制局長官においては、「一九七二年の政府見解」、すなわち、いわゆる昭和四十七年政府見解について、それが作成された当時からその中に限定的な集団的自衛権行使を許容する法理が含まれていたとの認識にはなかったものと解されるが、そのように理解してよいか。

二 前記「一」について、これらの答弁当時、横畠内閣法制局長官においては、昭和四十七年政府見解の中にある「外国の武力攻撃によって国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底からくつがえされる急迫不正の事態」との文章にある「外国の武力攻撃」という文言が、法理として、「我が国に対する外国の武力攻撃」の意味に止まらず「我が国ではない他国に対する外国の武力攻撃」とも意味するとの認識を有していなかったものと解されるが、そのように理解してよいか。

三 横畠内閣法制局長官の答弁中に「いわゆる限定的な場合における集団的自衛権の行使の問題につきましては」とあることから、これらの答弁の当時、横畠内閣法制局長官においては限定的な集団的自衛権行使なるものを概念として認識していたと解されるが、そのような理解でよいか。

四 横畠内閣法制局長官の「御指摘の昭和四十七年の政府見解は、集団的自衛権の行使が許されるとするものではございません。」との答弁の趣旨について、具体的に説明されたい。この答弁は、限定的な集団的自衛権行使を許容する憲法九条解釈の基本的な論理が昭和四十七年政府見解の中に存在するという安倍政権の主張を否定する見解と解してよいか。

五 同日の横畠内閣法制局長官の「この昭和四十七年の政府見解において示されております、我が国に対する武力攻撃が発生した場合においてなぜ武力の行使が許されるのか、憲法の規定においては一見すると武力の行使はおよそ許されないかのような読み方も見方もできるわけでございますけれども、その憲法第九条の規定の下においても一定の場合には武力の行使が許されるとするその理由について詳細に述べたものでございまして、それは、これまでの政府の考え方のまさに基本でございます。」との答弁の趣旨について、具体的に説明されたい。この答弁は、限定的な集団的自衛権行使を許容する憲法九条解釈の基本的な論理が昭和四十七年政府見解の中に存在するという安倍政権の主張を否定する見解と解してよいか。

六 同日の横畠内閣法制局長官の「この昭和四十七年の政府見解のベースになっている基本的な考え方というものについては変更するということはないと思いますけれども、それがどこまでの射程距離を持っているのかということについてまさに検討が行われているというふうに承知しております。」との答弁の趣旨について、答弁中の「この昭和四十七年の政府見解のベースになっている基本的な考え方というもの」が具体的に何を意味するかを示しながら、詳細に説明されたい。この答弁は、限定的な集団的自衛権行使を許容する憲法九条解釈の基本的な論理が昭和四十七年政府見解の中に存在するという安倍政権の主張を否定する見解と解してよいか。

七 横畠内閣法制局長官が、昭和四十七年政府見解の中に限定的な集団的自衛権行使を許容する憲法九条解釈の基本的な論理なるものが存在すると気付いたのは平成何年の何月の何日頃か。具体的な日付を示すことができない場合は、どのような機会にそうした気付きに至ったのか具体的に示されたい。

  右質問する。