第192回国会(臨時会)
質問第八五号 PKOにおける「受入れ同意の安定的維持」の合理性等に関する質問主意書 右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。 平成二十八年十二月十四日 小西 洋之
参議院議長 伊達 忠一 殿 PKOにおける「受入れ同意の安定的維持」の合理性等に関する質問主意書 従来、PKOにおける自衛隊の武器使用は、いわば自己保存のための自然権的権利というべきもの(以下「自己保存型の武器使用」という。)及び自衛隊の武器等の防護のための自衛隊法第九十五条に規定する武器の使用(以下「武器等防護」という。)に限られ、これらを超える武器使用は、相手方が国又は国に準ずる組織である場合には、憲法第九条の禁ずる「武力の行使」に当たるおそれがあると解されてきた。 こうした中、平成二十七年九月に成立したいわゆる安全保障法制において、国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律(以下「PKO法」という。)に「安全確保業務」及び「駆け付け警護」の任務が追加され、任務遂行型の武器使用権限が認められることとなった。これまで憲法違反のおそれがあるとされてきた任務遂行型の武器使用を認めることについて政府は、「国際連合平和維持活動等については、PKO参加五原則の枠組みの下で、「当該活動が行われる地域の属する国の同意」及び「紛争当事者の当該活動が行われることについての同意」が必要とされており、受入れ同意をしている紛争当事者以外の「国家に準ずる組織」が敵対するものとして登場することは基本的にないと考えられる。このことは過去二十年以上にわたる我が国の国際連合平和維持活動等の経験からも裏付けられる」(平成二十六年七月一日閣議決定。以下「七・一閣議決定」という。)と説明し、PKO法第六条第一項に「受入れ同意の安定的維持」を法的要件として規定した。 右を踏まえ、以下質問する。 一 PKO参加五原則の枠組みの下で「受入れ同意の安定的維持」があれば、紛争当事者以外の「国家に準ずる組織」が敵対するものとして登場することが基本的にないとする論拠(又は裏付け)が、過去二十年以上にわたる我が国の国際連合平和維持活動等の経験以外にあるのか、見解を示されたい。 二 七・一閣議決定において、PKO参加五原則の枠組みの下で、受入れ同意があれば、紛争当事者以外の国家に準ずる組織が敵対するものとして登場することが「基本的にない」としているが、このことは国に準ずる組織が敵対するものとして登場する可能性が完全に排除されたわけではないと理解してよいか。 三 平成十九年十一月一日、衆議院テロ・イラク特別委員会において、宮崎内閣法制局長官は「仮に武器使用の相手方が単なる犯罪集団であることが明確な場合など、その武器使用が武力の行使に当たるおそれがないと言えるような枠組みを設定することができる場合があれば、(中略)任務を遂行するための武器使用でありましても憲法上許容されないわけではない」と答弁しているが、七・一閣議決定にいう国に準ずる組織が敵対するものとして登場することが「基本的にない」、つまり、完全に排除されていない状況では、武力の行使に当たるおそれがあるのではないか、政府の見解を問う。 右質問する。 |