質問主意書

第192回国会(臨時会)

質問主意書


質問第四〇号

臨時財政対策債の在り方に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十八年十一月二十四日

松沢 成文   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   臨時財政対策債の在り方に関する質問主意書

 臨時財政対策債は、平成十三年度に三年間の時限的な特例措置として導入されて以来、地方からその廃止と地方交付税への復元が繰り返し要求されてきたにも関わらず、五度にわたり特例措置の延長がされてきた。
 地方の財源不足について、税源移譲等の根本的解決策を講じることを先送りし、臨時財政対策債の大量発行により補填し続けることは、いたずらに将来世代に負担を先送りすることを重ねるだけであり、政府は国民の未来に対する責任を放棄しているに等しい。
 臨時財政対策債は、地方財政法附則第三十三条の五の二により、平成二十六年度から平成二十八年度までの特例措置とされており、今年度限りで廃止すべきである。
 そこで、臨時財政対策債の在り方に関して以下質問する。

一 建設国債は発行額に見合う社会資本が残るが、赤字国債は発行により将来世代への資産は残らず負担だけが引き継がれることから、赤字国債は建設国債と比較してその発行を抑制すべきものと考えるが、政府の見解を示されたい。

二 臨時財政対策債は、赤字地方債と言われ、赤字国債同様、発行により将来世代への資産は残らず負担だけが引き継がれることから、その発行を抑制すべきものと考えるが、政府の見解を示されたい。

三 平成二十七年度決算における、臨時財政対策債の都道府県別残高と、各市町村の臨時財政対策債の残高を都道府県ごとに合算したものを示されたい。

四 地方自治体が臨時財政対策債を発行することで国の赤字国債の発行額が減額されても、国民には発行額に見合う社会資本は残らず将来負担が累増するだけであるという観点からは、赤字国債も臨時財政対策債も変わらないが、都道府県や市町村における臨時財政対策債の残高が著しく増加していることについてどのように考えるのか、政府の見解を示されたい。

五 臨時財政対策債は、時限的な特例措置として平成十三年度に導入されたが、税源移譲や地方交付税の法定率引き上げなど抜本的な地方財政対策はいつになったら行うのか、政府の見解を示されたい。

六 臨時財政対策債は、財政力の高い地方自治体に過大に配分されていると聞くが、各地方自治体の臨時財政対策債発行可能額は、どのような算定方法によっているのか。また、財政力の高い地方自治体に偏った不公平な算定方法を改め、臨時財政対策債への振替を行わない本来の算定方法で算定した地方交付税額に財政力に応じた補正を行わず一定率を乗じることで一律に算定した金額を臨時財政対策債発行可能額とするなど、公平な算定方法にしたらどうか、政府の見解を示されたい。

七 臨時財政対策債の償還財源は臨時財政対策債の発行により確保することとされており、地方自治体の財政の自由度を更に圧迫するものとなっている。臨時財政対策債の償還財源は、臨時財政対策債の発行により確保するのではなく、地方交付税を別に確保し、確実に地方自治体に交付すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

八 臨時財政対策債は今年度限りで廃止すべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

九 特段の理由があり、臨時財政対策債を今年度限りで廃止しない場合、少なくとも前記六で指摘した算定方法の変更を含む制度の見直しはしないのか、政府の見解を示されたい。

  右質問する。