質問主意書

第192回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一三号

拉致被害者の認定に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十八年十月二十六日

有田 芳生   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   拉致被害者の認定に関する質問主意書

 北朝鮮当局によって拉致された被害者等の支援に関する法律(平成十四年法律第百四十三号。以下「支援法」とする)第二条に基づく被害者の認定に関する諸問題について質問します。

一 平成二十七年十月一日現在及び平成二十八年十月一日現在で、全国の都道府県警察が、北朝鮮による拉致の可能性を排除できない者(以下「特定失踪者」とする)として捜査・調査している人数はそれぞれ何人ですか。また、この一年で人数に増減が生じている場合、その原因についても明らかにして下さい。

二 私が、平成二十八年二月十日付けで提出した「拉致被害者の認定に関する質問主意書」(第百九十回国会質問第四六号)に対する答弁書(内閣参質一九〇第四六号)二から四まで及び六についてで、政府は、支援法第二条の規定により北朝鮮当局によって拉致された日本国民として認定された者(以下「認定拉致被害者」とする)十七名について、「関係機関の捜査・調査の積み上げの結果、北朝鮮による拉致行為があったという確認に基づき認定されたものである」と答えています。
 この、「関係機関の捜査・調査の積み上げの結果、北朝鮮による拉致行為があったという確認に基づき認定」するというやり方が、現在の政府の認定方法と理解してよろしいですか。

三 支援法第二条に基づく認定拉致被害者は、平成十八年十一月に認定された松本京子さん以降途絶えています。これは、松本京子さんの認定以降の約十年間、関係機関の捜査・調査の積み上げの結果が同条に基づく認定に結びついていないことになります。
 政府は、これまでの関係機関の捜査・調査について、何が問題点であると認識していますか。

四 私は、政府関係者から「拉致被害者の認定については、北朝鮮側に反論する材料を与えることがないよう、慎重に対応している」との見解を幾度となく示されています。これは、「拉致行為があったかどうかの確認ができないまま認定してそれが拉致被害者でなかった場合、北朝鮮側に付け入る隙を与えてしまい、拉致問題解決にマイナスの影響を与えることになるので慎重に取り組まざるを得ない」ということだと思います。この政府関係者の見解は、政府の公式見解と捉えてよろしいでしょうか。

五 特定失踪者のご家族の中には、認定拉致被害者になることで、特定失踪者自身の身の安全を確保できると考えている方がおられます。また、北朝鮮に入境したという確認がなければ認定拉致被害者にならないのなら、誰が北朝鮮に行って調査できるのかと不満を募らせる方や、全国の都道府県警察において情報の共有を図るなどして捜査・調査機能を強化して欲しいと訴える方もいます。
 安倍内閣において拉致問題を解決すると繰り返し公言している以上、全国に散在する特定失踪者約九百人のご家族に政府が直接面談をし、その心情や認識について調査し、それに基づいて特定失踪者に関する施策の見直しをするべきと提言するものですが、この点について政府の見解をお伺いします。

六 安倍内閣は、ことあるごとに「拉致問題最優先」と公言しています。しかし、その言葉には特定失踪者問題への配慮が欠落しており、「拉致問題最優先」と聞くたびに失望と落胆を隠せない特定失踪者のご家族も全国には多いものと判断します。
 こうした特定失踪者とそのご家族への冷たい対応は、安倍総理の政治公約である「私の内閣で拉致問題を完全解決する」に反すると捉えるものですが、この点について政府の見解をお伺いします。

  右質問する。