質問主意書

第192回国会(臨時会)

質問主意書


質問第一一号

安倍内閣の拉致問題に対する姿勢に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十八年十月二十日

有田 芳生   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   安倍内閣の拉致問題に対する姿勢に関する質問主意書

 平成二十八年九月十七日、東京にある砂防会館別館の「シェーンバッハ・サボー」で開催された国民大集会で、安倍晋三内閣総理大臣(拉致問題対策本部長)が挨拶をしました。その内容について質問いたします。

一 安倍総理はこの挨拶の中で、「拉致問題は安倍内閣の最重要課題」と述べています。この発言は、これまで安倍内閣において繰り返し発言されてきたことですが、改めてその意味を確認させていただきます。
 この挨拶にある拉致問題とは、北朝鮮当局によって拉致された被害者等の支援に関する法律(以下「拉致被害者支援法」とする)第二条に規定する「被害者」だけの問題と理解してよろしいですか。

二 平成二十六年五月二十九日に日朝間で交わされたいわゆるストックホルム合意では、「拉致被害者及び行方不明者」とあるように、拉致被害者としての認定の有無により区別して記述されています。この合意文書からすると、安倍総理はこの挨拶の中で、「拉致被害者及び行方不明者の問題は安倍内閣の最重要課題」と言うべきと考えるものですが、なぜそう語らなかったのか、その理由を明らかにして下さい。

三 いわゆるストックホルム合意において、日本側が北朝鮮側に調査を要請した問題は、「一九四五年前後に北朝鮮域内で死亡した日本人の遺骨及び墓地、残留日本人、いわゆる日本人配偶者、拉致被害者及び行方不明者を含む全ての日本人」となっています。安倍総理の挨拶の中にある「拉致問題は安倍内閣の最重要課題」とは、ストックホルム合意で北朝鮮側に要請したどの問題よりも優先して、拉致被害者支援法第二条に規定する「被害者」の問題が安倍内閣の最重要課題であるという意味ですか。

四 安倍総理はこの挨拶の中で、「しかしながら、北朝鮮は、今日に至っても、なお、国際社会の呼びかけに応じず、本年に入ってからも二回の核実験を強行し、二十一発の弾道ミサイルを発射するという挑発行動を繰り返しています。この北朝鮮の暴挙に対し、国際社会が一致して、断固たる対応をとることが求められております」と述べています。
 現在、国連及び国際社会は、この北朝鮮の暴挙に対して、核・ミサイル・人権問題を一体として解決しようとしています。政府は、国連及び国際社会と一致して、核・ミサイル問題と拉致問題を切り離すことなく一体として対応する方針ですか。

五 安倍総理はこの挨拶の中で、「この北朝鮮の暴挙に対し、国際社会が一致して、断固たる対応をとることが求められております」と述べています。
 日本が共同提案国として国連総会(二〇一五年)に提出し採択された「北朝鮮人権状況決議」では、北朝鮮内で繰り返されている数々の人権侵害問題を「人道に対する犯罪」として厳しく追及しています。北朝鮮人権状況決議で追及している人権侵害問題と、ストックホルム合意で日本側が北朝鮮側に調査を要請した問題のうち、日本が解決を優先しているのはどちらですか。

  右質問する。