質問主意書

第192回国会(臨時会)

質問主意書


質問第三号

外国籍併有者の公務就任に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十八年九月二十六日

中野 正志   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   外国籍併有者の公務就任に関する質問主意書

 日本国憲法の採用する国民主権の原理は、治者と被治者の自同性を要請しているから、当然に、統治を担う国家公務員は日本国民であることが要件となる。日本国民たる要件は、国籍法が定めるとされている(憲法第十条、国籍法第一条参照)。国籍法は、日本国籍の得喪にかかわる要件・手続を規定することで日本国民たる要件を規定していることからすると、日本国民であることの必要条件として「日本国籍を保有していること」を要求していることは文理上明らかであるが、同時に、例えば「外国の国籍を有する日本国民」(国籍法第十四条第一項)という文言にあるように、「日本国籍と外国籍を併有している者」(以下「外国籍併有者」という。)も「日本国民」に含めていると解される。
 しかしながら、統治を担う国家公務員は、日本国籍のみを保有している者(以下「日本国籍単独保有者」という。)によって構成されるべきである。特に、国会議員は「全国民の代表」として、日本国民から日本国における権力の行使を負託されている。領土問題等、主権国家の権力行使において他の国と国益が相反する局面は多々ある。そのような局面も含めて、国民が権力の行使を負託しているのが国会議員である。かかる国会議員に就任できる者は、国民主権の原理からいって、日本国籍単独保有者に限られると考えるべきである。また、国務大臣は、国会に対して連帯して責任を負う内閣を構成する者であるから、同様に、日本国籍単独保有者のみが就任できると考えるべきである。
 そこで、我が国の法体系において、日本国籍単独保有者と外国籍併有者との間で、どのような取り扱いの違いがあるかについて、いわゆる公務就任権の観点から、以下質問する。

一 我が国の法体系において、外国籍併有者が国会議員に選出されることは可能か。可能である場合、外国籍併有者が国会議員に選出されることについての政府の見解如何。

二 我が国の法体系において、外国籍併有者が国務大臣に就任することは可能か。可能である場合、外国籍併有者が国務大臣に就任することについての政府の見解如何。

三 我が国の法体系において、日本国籍単独保有者だけが就任することができる公務はなにか。

四 国籍法第十四条第一項にいう「外国の国籍を有する日本国民」は現時点で何人いると政府は把握しているか。

五 国籍法第十四条第二項にいう「選択の宣言」をした者は現時点で何人いると政府は把握しているか。

六 国籍法第十五条第一項が規定する法務大臣の「催告」はこれまでに何件実施されたか。

  右質問する。