質問主意書

第191回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第二五号

内閣参質一九一第二五号
  平成二十八年八月十五日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員小西洋之君提出安倍内閣の集団的自衛権行使に係る新三要件の無限定ぶりに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員小西洋之君提出安倍内閣の集団的自衛権行使に係る新三要件の無限定ぶりに関する質問に対する答弁書

一及び二について

 御指摘の答弁書の「国民の生命等が危険に直面している状況下」との文言は、直接には、その直前の「外部からの武力攻撃によって国民の生命や身体が危険にさらされるような場合」との文言を受けたものであると考えられるが、同答弁書は、国際関係において一切の実力の行使を禁じているかのように見える憲法第九条の下でも、例外的に自衛のための武力の行使が許される場合として、昭和四十七年十月十四日に参議院決算委員会に対し政府が提出した資料「集団的自衛権と憲法との関係」(以下「昭和四十七年政府見解」という。)にいう「外国の武力攻撃によつて国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底からくつがえされるという急迫、不正の事態」に当たる場合としては、我が国に対する武力攻撃が発生した場合に限られるという当時の事実認識を前提としていることから、これらの文言に当てはまる場合としては、我が国に対する武力攻撃が発生した場合のことを考えていたものである。
 他方、「武力の行使」の三要件の第一要件にいう「国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある」との文言は、「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」(平成二十六年七月一日閣議決定)において、我が国を取り巻く安全保障環境が根本的に変容し、変化し続けている状況を踏まえ、現在の安全保障環境に照らして慎重に検討した結果、昭和四十七年政府見解にいう「外国の武力攻撃によつて国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底からくつがえされるという急迫、不正の事態」に当たる場合として、我が国に対する武力攻撃が発生した場合に限られるとしてきたこれまでの事実認識を改め、「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある」場合も、これに当てはまるとしたことを前提として、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生した場合について、例外的に自衛のための武力の行使が許されるために必要な要件として明記したものである。

三について

 「武力の行使」の三要件の第一要件にいう「国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある」との文言は、憲法第十三条において国政上最大の尊重を必要とされている「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利」が根底から覆される明白な危険があることを意味するものである。