質問主意書

第191回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一七号

内閣参質一九一第一七号
  平成二十八年八月十五日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員石上俊雄君提出東京電力株式会社福島第一原子力発電所の廃炉作業等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員石上俊雄君提出東京電力株式会社福島第一原子力発電所の廃炉作業等に関する質問に対する答弁書

一について

 東京電力ホールディングス株式会社(以下「東京電力」という。)の福島第一原子力発電所(以下「福島第一原発」という。)の廃炉・汚染水対策については、東京電力、政府、原子力損害賠償・廃炉等支援機構、国立研究開発法人日本原子力研究開発機構(以下「日本原子力研究開発機構」という。)等の関係者が、各々の役割に基づき、連携を図り、必要な取組を進めていくことが重要である。政府としては、廃炉・汚染水対策チーム会合の事務局会議の場等も活用し、「東京電力(株)福島第一原子力発電所の廃止措置等に向けた中長期ロードマップ」(平成二十七年六月十二日廃炉・汚染水対策関係閣僚等会議決定)(以下「中長期ロードマップ」という。)に記載した各種対策が着実に実施されるよう進捗管理を行うとともに、技術的難易度が高く、国が前面に立って取り組む必要がある研究開発については、財政措置を進めることとしている。

二について

 福島第一原発の現場で働く作業員の労働環境の改善は重要であり、これまで、東京電力、元請事業者及び関係請負人との間で、過去の労働災害に加え、被ばく低減対策の情報を共有するなど、適切な労働環境の実現に向けて東京電力等への指導等を行ってきたところである。
 政府としては、中長期ロードマップに沿って、東京電力、元請事業者及び関係請負人によるリスクアセスメントの実施、東京電力等による体感型教育訓練施設の活用、現場巡視の強化等を図るとともに、「「東京電力福島第一原子力発電所における安全衛生管理対策のためのガイドライン」の策定について」(平成二十七年八月二十六日付け基発〇八二六第一号厚生労働省労働基準局長通達)に基づき、東京電力等に対して指導を行うこと等により、引き続き、労働環境の改善を図ってまいりたい。

三について

 福島第一原発の廃炉・汚染水対策を進めるに当たっては、国民に対して、安全対策の取組、作業の進捗状況等を適切に伝えることが重要であり、これまで、政府としては、経済産業省のホームページ等を通じた情報公開や、パンフレットの配布等による情報発信に取り組むとともに、モニタリングデータの全数公開など適切な情報公開について東京電力への指導等を行ってきたところである。引き続き、適切な情報公開に必要な取組を進めてまいりたい。

四について

 政府としては、廃炉・汚染水対策について、技術的難易度が高く、国が前面に立って取り組む必要がある研究開発については、財政措置を進めることとしている。
 人材育成については、三十年から四十年程度掛かると見込まれている廃止措置等を実施していくため、中長期的な視点での計画的な人材育成に取り組むこととしている。具体的には、産学官の共同研究や産学官ネットワークの構築・強化といった研究活動の活性化や、人材育成につながる取組について、政府や日本原子力研究開発機構が支援を行っている。
 また、福島第一原発の事故を起こした我が国として、福島第一廃炉国際フォーラム等を通じて、国際社会に対し、研究開発の成果等の積極的な情報発信を行い、国際社会に開かれた形で廃止措置等を進めることとしている。