質問主意書

第191回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一三号

内閣参質一九一第一三号
  平成二十八年八月十五日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員石上俊雄君提出IoTやビッグデータ解析、人工知能等のイノベーション利活用による「日本版・第四次産業革命」を見据えた我が国電機産業の発展に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員石上俊雄君提出IoTやビッグデータ解析、人工知能等のイノベーション利活用による「日本版・第四次産業革命」を見据えた我が国電機産業の発展に関する質問に対する答弁書

一について

 様々な物にセンサ等が埋め込まれ、収集された多量の情報がインターネットでやり取りされるいわゆるIoTや、いわゆるビッグデータ解析、人工知能等の技術の進展等への対応は重要と考えている。
 総務省と経済産業省の支援の下で設立された「IoT推進コンソーシアム」において産学官が連携し、ビッグデータ解析や人工知能を含む技術の開発の推進及び利活用の促進並びに我が国における新たなビジネスの創出や国際競争力強化に向けた取組を進めている。さらに、こうした取組を全国展開するものとして、地域におけるIoTに関するプロジェクトの創出のための取組を「地方版IoT推進ラボ」として選定している。
 また、人工知能技術については、政府として、産学官を糾合し、我が国の強みをいかした技術戦略の策定及び実行を指揮する司令塔機能として「人工知能技術戦略会議」を設置し、研究開発から社会実装までを一元的に推進している。

二の1について

 個人情報の保護に関する法律及び行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の一部を改正する法律(平成二十七年法律第六十五号)附則第十二条第三項において、政府は、「この法律の施行後三年ごとに、個人情報の保護に関する国際的動向、情報通信技術の進展、それに伴う個人情報を活用した新たな産業の創出及び発展の状況等を勘案し、新個人情報保護法の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする」とされているところであり、同項の規定に基づく検討を行ってまいりたい。
 また、関係機関と連携した説明会の開催並びにパンフレットの作成及び配布等、個人情報の保護に関する法律(平成十五年法律第五十七号)の内容の周知広報に努めているところであり、引き続き、このような取組を進めてまいりたい。

二の2について

 政府としては、個人情報の保護を前提としながら、データの円滑な海外移転を確保することが重要であると認識している。こうした認識を我が国と諸外国との間で共有し、国際的なデータの移転が円滑に行われるための環境を整備するため、諸外国との対話を進めるとともに、個人情報の保護に関する国際的な協力の枠組みへの参加等の取組を進めてまいりたい。

三について

 政府としては、中堅・中小企業におけるITの導入及び利活用を促進していくことは重要と認識している。そのため、IT導入の事例紹介については、中小企業がITを活用する際の参考となるようなベスト・プラクティスを「攻めのIT経営中小企業百選」として選定し、ITを活用した経営の普及を図っているところである。また、平成二十八年度予算で措置された中小企業・小規模事業者ワンストップ総合支援事業では、IT導入による生産性向上等の様々な経営上の相談に対応するよろず支援拠点を整備するとともに、専門家を紹介し派遣する事業を実施している。さらに、中小企業等経営強化法(平成十一年法律第十八号)第十二条第一項においては、主務大臣は、所管に係る事業分野のうち、中小企業者等の経営力向上が特に必要と認められる事業分野を指定し、当該事業分野に係る経営力向上に関する指針(事業分野別指針)を定めることができるとされており、これに基づき現在定められている事業分野別指針においては、IT投資についても定め、この内容を踏まえた取組を行う中小企業者等を支援しているところである。

四の1について

 医療関連機器の製品開発に際しては、各企業が顧客ニーズを踏まえることが重要と認識している。
 政府の取組としては、優れたものづくり技術を有する中小企業と医療機関等との連携により、現場のニーズに応える医療関連機器の開発・実用化を支援している。
 また、企業の医療機器の開発者と医師等による交流のためのセミナー開催等を支援している。

四の2について

 御指摘の「パワーアシストや動作ガイドをする、人の動きに係るマシン開発」の意味するところが必ずしも明らかではないが、政府としては、介護・医療が必要な状態になってもなお住み慣れた地域で自立した生活を継続することを支援することとしており、実用化への期待が高い介護分野について、現在ロボット介護機器の開発に関し支援を行いつつ、ロボット介護機器に関する安全基準の策定等に取り組んでいるところである。

五の1について

 オペレーションシステムや制御ソフトウェア等、自動走行は従来の自動車産業が開発及び保有してきた技術よりも幅広い技術が必要なことから、自動車メーカー、電機メーカー、大学及び研究機関等の連携が求められていると認識している。このため、経済産業省と国土交通省において「自動走行ビジネス検討会」を開催し、産学官で連携しつつ、自動車メーカーや電機メーカーを含め我が国産業が自動走行分野で世界を先導するために必要な検討を進めている。

五の2について

 政府においては、自動走行システムに係る制度について、自動走行による社会的なメリットが大きいことを踏まえ、安全を確保しつつ、イノベーションを促進する観点から、国際的にも連携して検討しているところである。例えば、警察庁において、本年六月に第一回「自動運転の段階的実現に向けた調査検討委員会」を開催して道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)に関連する課題の検討を行っている。また、本年三月には国際連合欧州経済委員会内陸輸送委員会道路交通安全作業部会に正式な構成員として参加するなど、自動走行システムに関する国際的な議論に参画しているところである。

六の1について

 政府としては、「日本再興戦略二〇一六」(平成二十八年六月二日閣議決定)に基づき、官民協調による技術開発の推進、ビジネスの新陳代謝の加速化、人材育成等の多岐にわたる課題を解決すべく、「第四次産業革命を推進する政府全体の新たな司令塔」を設け、政府の取組全体を統括していくこととしている。

六の2について

 政府としては、中長期的な産業構造・就業構造の変化を踏まえ、成長産業で活躍できる人材を、戦略的に育成していく必要があると考えている。このため、「日本再興戦略二〇一六」において「関係省庁・産業界・労働界・教育機関・職業訓練機関や人材育成産業等が連携しながら、今後到来すると考えられる産業構造・就業構造の変化と、その中で想定される新しい産業に即した人材像・その資質や能力を適切に描き出すとともに、その結果を官民で認識共有し、職業能力開発政策・教育政策等へ具体的に反映させる仕組みを本年中に整備する」こととしている。