質問主意書

第191回国会(臨時会)

答弁書


答弁書第一二号

内閣参質一九一第一二号
  平成二十八年八月十五日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿

参議院議員森ゆうこ君提出「給付型奨学金」の創設に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員森ゆうこ君提出「給付型奨学金」の創設に関する質問に対する答弁書

一から三までについて

 御指摘の「給付型奨学金」の制度内容については、平成二十九年度の予算編成過程を通じて結論を得ることとしており、現時点において、お尋ねの「具体的検討状況(給付対象者、一人当たりの給付金額、予算規模等)」、「実現に向けたロードマップ」及び「平成二十九年度予算の概算要求の際にはどのように要求する」かについてお答えすることは困難であるが、政府としては、「未来への投資を実現する経済対策」(平成二十八年八月二日閣議決定)において、「給付型奨学金」を御指摘の「ニッポン一億総活躍プラン」の実現の加速化につながる施策の一つとして位置付け、文部科学省において、その創設に向けた検討を進めているところである。

四について

 お尋ねの独立行政法人日本学生支援機構(以下「機構」という。)と「受給者との間で裁判になっている件数」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、機構の申立てにより裁判所から支払督促を受けた要返還者(奨学金の貸与を受け、その奨学金を返還する義務を有する者をいう。以下同じ。)が裁判所に異議を申し立てたことにより手続が通常訴訟手続に移行した件数は、現時点で把握している限りでは、平成二十六年度において四千四百六十六件である。
 また、お尋ねの「返済不能に陥った」及び「金額」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、現時点で把握している限りでは、平成二十六年度末時点において奨学金の返還を三か月以上延滞している者(以下「延滞者」という。)が延滞している割賦金(独立行政法人日本学生支援機構に関する省令(平成十六年文部科学省令第二十三号)第二十六条第一項に規定する割賦金をいい、利息を除く。)の総額については、最高額が八百二十六万六千五百八円、平均額が約四十七万九百五円であり、延滞者の延滞が継続している理由については、機構が実施した「平成二十六年度奨学金の返還者に関する属性調査」によると、複数回答によるものであるが、「本人の低所得」が五十一・六パーセント、「奨学金の延滞額の増加」が四十六・八パーセント、「親の経済困難」が四〇・六パーセント、「本人の借入金の返済」が二十六・〇パーセント、「本人の失業中・無職」が十六・六パーセント、「家族の病気療養」が十二・二パーセント、「本人の病気療養中」が七・五パーセント、「その他」が二十六・〇パーセントである。なお、同調査によると、延滞者のうち、要返還者が災害又は傷病によって返還が困難となったときなどは願い出により奨学金の返還の期限を猶予することができる「返還期限猶予制度」について「知らない」と回答した者の割合が三十五・七パーセント、要返還者が災害又は傷病によって返還が困難となったときなどは願い出により割賦金の減額等をすることができる「減額返還制度」について「知らない」と回答した者の割合が五十一・〇パーセントであることから、文部科学省としては、今後とも、機構において、「返還期限猶予制度」等が奨学金の貸与を受けた者に対して適切に周知されるよう促してまいりたい。