質問主意書

第191回国会(臨時会)

質問主意書


質問第五号

「障害者」の表記の見直しに関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十八年八月二日

藤末 健三   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   「障害者」の表記の見直しに関する質問主意書

 平成二十八年七月末に障害者福祉施設で殺傷事件が発生した。この事件の根底には、障がい者への偏見や差別があったとも報道されている。
 政府は、平成二十一年十二月に閣議決定により「障がい者制度改革推進本部」を設置し、法令等における「障害」の表記の在り方に関する検討を行った。しかしながら、検討結果では「法令等における「障害」の表記については、当面、現状の「障害」を用いることとし、今後、制度改革の集中期間内を目途に一定の結論を得ることを目指すべきである。」とされた。
 「害」という漢字は、「公害」、「害悪」、「害虫」という言葉にも用いられるように、当事者の存在を害であるとする社会の価値観を助長してきたとも言え、また、「障害」については「健全な育成に障害」、「電波の障害」、「障害物」など負のイメージを伴う使われ方をしている。
 実際に、行政文書等における「障害」の表記を「障がい」に変更している地方公共団体も多くある。また、民間企業においても「障がい」という表記に切り替えているところもある。
 一方、平成二十四年十二月十七日に障害者政策委員会で取りまとめられた「新「障害者基本計画」に関する障害者政策委員会の意見」においては、「法制上の「障害」の表記の在り方については、障害者権利条約における新しい障害の考え方を踏まえつつ、今後の国民、特に障害当事者の意向を踏まえて検討する。」とされているが、政府における取組は地方公共団体や民間企業と比較して進んでいないように思われる。
 「障害者」の表記について、政府の見解及び見直しに向けた検討状況について示されたい。

  右質問する。