質問主意書

第191回国会(臨時会)

質問主意書


質問第二号

ビキニ水爆被害の全容解明に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十八年八月二日

紙 智子   


       参議院議長 伊達 忠一 殿



   ビキニ水爆被害の全容解明に関する質問主意書

 一九五四年にアメリカは太平洋マーシャル諸島ビキニ環礁で水爆実験を強行した。これにより第五福竜丸が被災したことは知られているが、六回におよぶ水爆実験で、他に多くの漁船等や乗組員が被ばくしたことはあまり知られていない。
 ビキニ被害の全容解明を求める市民団体や研究者のねばり強い運動を受けて政府はようやく二〇一五年に、千四百隻以上の漁船等と乗組員が影響を受けたことを明らかにした。また、ビキニ水爆実験から六十年経った二〇一四年度に「ビキニ水爆関係資料の整理に関する研究」を開始し、昨年六月に報告書を公開した。二〇一五年度には「ビキニ水爆関係資料の線量評価に関する研究」を開始し、本年六月に報告書を公開した。そこで、以下、政府の見解を問う。

一 ビキニ水爆被害に関する資料については、二〇一四年九月に厚生労働省が情報開示し、二〇一五年に水産庁が私の求めに応じて提出した。一九八六年三月七日の衆議院予算委員会第四分科会で、日本共産党の山原健二郎衆議院議員がビキニ被災漁民の全容解明を求めたのに対し政府は、資料はなく調査は難しい旨の答弁をしたが、この答弁が虚偽であることが明らかになった。ビキニ被災問題に対して真摯に事実に向き合い調査をしてこなかったことが、この問題の全容の究明・解明並びに被災者の救済を遅らせたと考える。六十年にわたりビキニ被災問題を放置してきた政府の責任は重大だと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

二 「ビキニ水爆関係資料の整理に関する研究」の目的は、当時の記録、論文等の収集・整理等を行うこと、「ビキニ水爆関係資料の線量評価に関する研究」の目的は、引き続き記録、論文等の収集等を行うこと及び線量評価の可能性を検討することとされている。そこで、これらの研究において、収集した記録、論文等をすべて明らかにされたい。

三 前記二の両研究に当たり、聞き取り調査等を行っていたとしたら、その調査対象の選考基準を示されたい。同時に、聞き取り調査等を行った研究者や団体名を明らかにされたい。

四 前記二の両研究は、第五福竜丸の船員の健康状態のフォローアップを行う国立研究開発法人放射線医学総合研究所の研究者をはじめ、放射線の影響に係る専門的知見を持つ有識者により行われている。当該有識者の第五福竜丸以外の被災船についての研究実績を明らかにされたい。

五 厚生労働省や水産庁等が開示又は提出した資料において、被災した漁船等や乗組員の被害調査並びに補償を含む政府の対策・措置で明らかになったことを具体的に示されたい。

  右質問する。