質問主意書

第190回国会(常会)

答弁書


答弁書第一五三号

内閣参質一九〇第一五三号
  平成二十八年六月十日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員松沢成文君提出トラック運輸産業におけるドライバーの長時間労働に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員松沢成文君提出トラック運輸産業におけるドライバーの長時間労働に関する質問に対する答弁書

一について

 自動車運転者の労働時間等の改善のための基準(平成元年労働省告示第七号。以下「告示」という。)については、労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)では規制がない拘束時間や休息期間等について、自動車運転者の乗務の特性を踏まえ、貨物自動車運送事業の労使の参加も得て行われた中央労働基準審議会で議論の上、合意形成を図りながら定めたものである。平成二十六年において千八百件を超える貨物運送事業の事業場に何らかの告示違反が見られる現状においては、まずは使用者に告示の内容を遵守させることが重要であり、その上で告示に定める拘束時間等の引下げ等の内容の見直しについて関係労使の共通認識を醸成していただく必要があるものと考えている。また、拘束時間等の法制化については、自動車運転者のみに罰則付きで現行の労働基準法を上回る義務付けを行うこととなるため、直ちに関係労使を始め社会的な合意形成を図ることは困難であると考えている。

二について

 貨物自動車運送事業においては、他産業と比べて長時間労働・低賃金の傾向にあり、中長期的には、深刻な運転者不足も懸念される。同事業の運転者不足の解消に向けては、事業者の取引条件の改善及び長時間労働の抑制が重要な課題であるところ、政府としては、平成二十七年度に、「下請等中小企業の取引条件改善に関する関係府省等連絡会議」、「サービス業の生産性向上協議会」及び「トラック輸送における取引環境・労働時間改善協議会」を設置し、取引条件の改善、長時間労働の抑制等に向けた議論を進めているところである。
 一方、御指摘の「長時間労働改善」と「高速道路の利用による時間短縮」との因果関係については必ずしも明らかではないが、高速道路(高速道路株式会社法(平成十六年法律第九十九号)第二条第二項に規定する高速道路をいう。以下同じ。)の料金(道路整備特別措置法(昭和三十一年法律第七号)第二条第五項に規定する料金をいう。以下同じ。)については、「新たな高速道路料金に関する基本方針」(平成二十五年十二月二十日国土交通省決定)及び新たな高速道路の料金案についてのパブリックコメントに寄せられた意見を踏まえ、平成二十六年四月に新たな料金を導入したところであり、今後とも、財源の確保という課題もあるが、地域の意見を聴きながら、幅広い議論を行い、時代に即した高速道路の料金になるように努めてまいりたい。