質問主意書

第190回国会(常会)

答弁書


答弁書第一三九号

内閣参質一九〇第一三九号
  平成二十八年六月七日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員山本太郎君提出子宮頸がんワクチンに関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員山本太郎君提出子宮頸がんワクチンに関する質問に対する答弁書

一について

 御指摘の国立がん研究センターの統計による子宮頸がんの死亡者及び罹患者のうち、ヒトパピローマウイルス(以下「HPV」という。)十六型及び十八型の感染者数については、調査をしていないため不明であるが、「ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンに関するファクトシート(平成二十二年七月七日版)」(平成二十二年七月七日厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会資料)が引用している様々な報告によると、子宮頸がんの罹患者であってHPVに感染している者に占めるHPV十六型及び十八型の感染者数の割合は、五十パーセントから七十パーセントまでの間にあるとされている。

二について

 御指摘のガーダシルに係る医薬品の製造販売後の調査及び試験の実施の基準に関する省令(平成十六年厚生労働省令第百七十一号)第二条第二項に規定する使用成績調査(以下「使用成績調査」という。)及び同条第四項に規定する製造販売後臨床試験(以下「製造販売後臨床試験」という。)については、製造販売業者から提出された使用成績調査実施計画書及び製造販売後臨床試験実施計画書により、現在行われているものと承知しているが、使用成績調査を実施している具体的な医療機関名については、使用成績調査実施計画書に記載されていないため承知しておらず、製造販売後臨床試験を実施している具体的な医療機関名については、これを公にすることにより法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあることから、お答えすることは差し控えたい。あわせて、お尋ねの使用成績調査及び製造販売後臨床試験の終了時期については、現時点において確定しているものではないが、ガーダシルを含めた新医薬品の使用成績調査及び製造販売後臨床試験の結果は、原則として、当該医薬品の承認のあった日後八年を経過した日から起算して三月以内の期間に提出される再審査申請書に添付されるものである。
 また、お尋ねの「評価」の意味するところが明らかではないが、一般に、新医薬品の再審査は、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号)第十四条の四の規定により、その使用成績調査、製造販売後臨床試験等の結果に基づき、その品質、有効性及び安全性に関する調査を行った上で、その効能、効果等について確認することにより行うこととされており、これらの調査及び確認については、同法第十四条の五第一項において読み替えて準用する同法第十四条の二第一項の規定に基づき、独立行政法人医薬品医療機器総合機構に行わせることとしている。

三について

 お尋ねの「組換え沈降九価ヒトパピローマウイルス様粒子ワクチン」を含む新医薬品の製造販売の承認に当たっては、申請者から提出を受けた臨床試験の試験成績に関する資料等を基に、品質、有効性及び安全性を確認することとしており、御指摘のガーダシルを含む他の新医薬品の使用成績調査、製造販売後臨床試験等の結果に基づく再審査の終了が承認の条件となるものではない。

四について

 お尋ねの医療機関等の名称については、公にすることにより、法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあることから、お答えすることは差し控えたい。
 また、お尋ねの治験責任医師の氏名については、公にすることにより、特定の個人を識別することができる情報や個人の権利利益を害するおそれがある情報が含まれていることから、お答えすることは差し控えたい。

五について

 御指摘の「面談」において「要請」は行われておらず、また、御指摘の「厚生労働省等の政府機関」に対して「要請」があったとは承知していない。

六について

 環太平洋パートナーシップ協定第九章第B節の規定においては、投資紛争の当事者である締約国の投資家が、当該投資紛争の当事者である他の締約国が同章に規定する義務に違反したことにより、その違反から生ずる損失又は損害を被った場合、当該投資家が締約国の投資家として被った損失又は損害のみを回復することができる旨が定められている。また、同協定第九・十六条においては、同章のいかなる規定も、締約国が自国の領域内の投資活動が環境、健康その他の規制上の目的に配慮した方法で行われることを確保するために適当と認める措置を採用すること等を妨げるものと解釈してはならない旨が定められているほか、同章の複数の規定において、締約国が公共の福祉に係る正当な目的の下で講ずる一定の措置を妨げない旨が定められている。
 これらのことから、我が国が、HPVワクチンとの因果関係を否定できない持続的な疼痛等が当該ワクチン接種後に特異的に見られたことを受け、これらの症状の発生頻度等がより明らかになり、国民に適切な情報提供ができるまでの間、当該ワクチンの定期接種の積極的な勧奨を中止することは、同章に規定されている義務に違反するものではないと考えており、御指摘の本年四月四日の参議院行政監視委員会における澁谷和久内閣官房内閣審議官の答弁は、その旨を述べたものである。