質問主意書

第190回国会(常会)

答弁書


答弁書第一二六号

内閣参質一九〇第一二六号
  平成二十八年六月二日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員糸数慶子君提出米軍読谷補助飛行場跡地から検出された有害物質の処理に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員糸数慶子君提出米軍読谷補助飛行場跡地から検出された有害物質の処理に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねについては、平成二十六年四月に、読谷村から沖縄防衛局(平成十九年八月三十一日以前は那覇防衛施設局。以下同じ。)に対し、平成十八年十二月三十一日にアメリカ合衆国から返還された読谷補助飛行場の跡地の一部(以下「本件跡地」という。)に係る土壌試験結果について情報提供を受けたところであり、当該情報提供によれば、沖縄県が本件跡地について実施した平成二十六年三月の土壌試験の結果、本件跡地の土壌からダイオキシン類等が検出されたと承知している。

二について

 沖縄県の土壌試験結果によると、ダイオキシン類については、ダイオキシン類対策特別措置法(平成十一年法律第百五号)第七条の規定に基づく環境基準に定められている基準値を超過しているものと承知している。鉛については、環境基本法(平成五年法律第九十一号)第十六条第一項の規定に基づく土壌の汚染に係る環境基準において、土壌に含まれる量の基準値は定められていない。

三及び六について

 読谷補助飛行場は、沖縄の本土復帰以前から、米軍が自ら使用する部分を除いた大部分の土地において、施設及び区域の境界がフェンスで区切られておらず、地元住民による耕作等の実施が、米軍から読谷村に対し許可されていたこともあり、米軍関係者以外の者が自由に立ち入ることが可能な状態となっていた。また、本土復帰後は、本件跡地は、米軍に許可を得ず特定の個人により廃材及び廃棄車両置場として使用され、同人による廃棄物の焼却も行われていたと承知している。これについては、米軍、沖縄防衛局及び同村から同人に対して累次にわたって廃棄物を撤去してほしい旨の要請を行い、同人が本件跡地から廃棄物を撤去したものと承知している。
 他方、本件跡地においては、平成十八年の返還に際し、沖縄県における駐留軍用地の返還に伴う特別措置に関する法律の一部を改正する法律(平成二十四年法律第十四号)による改正前の沖縄県における駐留軍用地の返還に伴う特別措置に関する法律(平成七年法律第百二号。以下「返還特措法」という。)第六条の規定に基づく返還実施計画を定め、航空写真や米軍に対する使用履歴の確認等を行うことにより米軍の使用に起因する土壌汚染等の状況の調査を実施したところであり、同調査の結果によると、本件跡地には、米軍の使用に起因する土壌汚染の蓋然性がなかったことが確認されている。
 これらの経緯を踏まえ、政府としては、本件跡地に現存する廃棄物等については、米軍の使用に起因するものであると判断することは困難であると考えており、政府として、同廃棄物等の処理を行うことは、現時点で検討していない。

四について

 現在、米軍の施設及び区域の返還に際しては、沖縄県における駐留軍用地跡地の有効かつ適切な利用の推進に関する特別措置法(平成七年法律第百二号。以下「跡地利用特措法」という。)第八条の規定に基づく返還実施計画を定め、航空写真や米軍に対する使用履歴の確認等を行い、米軍の使用に起因するものに限らず土壌汚染等の状況の調査を実施すること等としている。
 本件跡地においては、平成十八年の返還に際し、返還特措法第六条の規定に基づく返還実施計画を定め、同様の確認等を行い、米軍の使用に起因する土壌汚染等の状況の調査を実施したところであり、同調査の結果によると、本件跡地には、米軍の使用に起因する土壌汚染の蓋然性がなかったことが確認されている。
 この調査結果等を踏まえれば、政府としては、本件跡地に現存する廃棄物等については、米軍の使用に起因するものであると判断することは困難であると考えており、現時点で、米軍による本件跡地の使用履歴について、改めて米軍に確認を行うことは考えていない。

五について

 沖縄県における米軍の施設及び区域の返還に際しては、平成二十四年の沖縄県における駐留軍用地の返還に伴う特別措置に関する法律の一部を改正する法律の施行に伴い、返還が合意された駐留軍用地の区域の全部について、返還後において当該土地を利用する上での支障の除去に関する措置を当該土地の所有者等に当該土地を引き渡す前に講ずることとされたところであるが、本件跡地については平成十八年に返還されたものであることから、跡地利用特措法の規定は適用されないものと考えている。

七について

 お尋ねの「米軍基地の返還跡地において、返還後に有害物質が検出され、当該汚染原因がはっきりしない(有害物質を廃棄したのが米軍であるとの明確な証拠がない)場合」の意味するところが必ずしも明らかではないが、お尋ねの「有害物質はどこが処理するのか」については、土地の使用実態等により、個別に判断されるべきものであることから、一概にお答えすることは困難である。

八及び九について

 本件跡地においては、平成十八年の返還に際し、返還特措法第六条の規定に基づく返還実施計画を定め、航空写真や米軍に対する使用履歴の確認等を行い、米軍の使用に起因する土壌汚染等の状況の調査を実施したところである。また、今後返還される米軍の施設及び区域については、跡地利用特措法第八条の規定に基づく返還実施計画を定め、同様の確認等を行い、米軍の使用に起因するものに限らず土壌汚染等の状況の調査を実施した上で、返還が合意された駐留軍用地の区域の全部について、返還後において当該土地を利用する上での支障の除去に関する措置を当該土地の所有者等に当該土地を引き渡す前に講ずること等としている。
 また、米軍に係る環境問題については、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和三十五年条約第七号)第二十五条1の規定に基づき設置された合同委員会の下にある環境分科委員会の枠組みを活用するなどして、適切に対処してまいりたい。