質問主意書

第190回国会(常会)

答弁書


答弁書第八三号

内閣参質一九〇第八三号
  平成二十八年三月十八日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員藤末健三君提出自衛隊員のリスクについての政府統一見解に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員藤末健三君提出自衛隊員のリスクについての政府統一見解に関する質問に対する答弁書

一について

 重要影響事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律(平成十一年法律第六十号。以下「重要影響事態法」という。)に基づく後方支援活動又は国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律(平成二十七年法律第七十七号。以下「国際平和協力支援活動法」という。)に基づく協力支援活動の実施に際して、重要影響事態法第六条又は国際平和協力支援活動法第七条の規定により、防衛大臣は、自衛隊の部隊等が後方支援活動又は協力支援活動(以下「後方支援活動等」という。)を円滑かつ安全に実施できるように、当該後方支援活動等を実施する区域(以下「実施区域」という。)を指定することとなる。
 その上で、我が国の領域外における後方支援活動等の実施を命ぜられた自衛隊の部隊等の長又はその指定する者は、後方支援活動については、当該後方支援活動を実施している場所又はその近傍において、戦闘行為が行われるに至った場合又は付近の状況等に照らして戦闘行為が行われることが予測される場合には、当該後方支援活動の実施を一時休止するなどして危険を回避することとされており、また、協力支援活動については、当該協力支援活動を実施している場所若しくはその近傍において戦闘行為が行われるに至った場合若しくは付近の状況等に照らして戦闘行為が行われることが予測される場合又は当該自衛隊の部隊等の安全を確保するため必要と認める場合には、当該協力支援活動の実施を一時休止し又は避難するなどして危険を回避することとされている。さらに、防衛大臣は、実施区域の全部又は一部において、自衛隊の部隊等が後方支援活動等を円滑かつ安全に実施することが困難であると認める場合には、速やかに、その指定を変更し、又はそこで実施されている活動の中断を命じなければならないこととされている。
 また、防衛大臣は、国際平和協力支援活動法第九条の規定により、対応措置の実施に当たっては、その円滑かつ効果的な推進に努めるとともに、自衛隊の部隊等の安全の確保に配慮しなければならないこととされている。
 さらに、国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律(平成四年法律第七十九号)においては、国際平和協力本部長(内閣総理大臣)は、同法第十条の規定により、国際平和協力業務の実施に当たっては、その円滑かつ効果的な推進に努めるとともに、国際平和協力隊の隊員の安全の確保に配慮しなければならないことを規定するなど、安全確保に係る規定を設けている。

二について

 一般論として申し上げれば、自衛隊では、職種、職域等に応じて、各自衛隊の教育部隊や学校において隊員に対する教育訓練を行っているところであり、かかる教育訓練において新たな任務を適切に遂行できるよう必要な知識及び技能を隊員に修得させることとなる。

三について

 現時点において、我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律(平成二十七年法律第七十六号)による改正後の自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)その他の法律及び国際平和協力支援活動法に基づく新たな任務に係る訓練の具体的な方針は決まっていないが、必要に応じ、平成二十八年度予算に計上している訓練関連経費を活用して、与えられた任務を適切に遂行できるよう所要の準備を進めてまいりたいと考えている。

四について

 従来から、自衛隊の実際の派遣の際には、活動地域について十分な情報収集を行い、十分な自己防護用の装備を整え、これらの活動に従事する自衛隊員を対象として現地の状況や活動の内容を想定した実践的な教育訓練等を行った上で、現地の社会的・文化的慣習を尊重し、地域住民との良好な関係の構築及び維持に努めることにより、自衛隊員が安全に活動できる環境を確保しつつ派遣を行ってきており、新たな任務が付与される際にもこれらの準備等を実施することになるものと考えている。
 また、自衛隊の活動に従事する自衛隊員には、その活動に伴うリスクが存在するものと考えるが、それはその従事する活動の内容や状況により異なるものであり、お尋ねの「リスク分析」の具体的内容について、一概にお答えすることは困難である。