質問主意書

第190回国会(常会)

答弁書


答弁書第六五号

内閣参質一九〇第六五号
  平成二十八年三月八日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員吉川沙織君提出軽減税率制度導入に必要な財源に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員吉川沙織君提出軽減税率制度導入に必要な財源に関する質問に対する答弁書

一、二及び四について

 社会保障と税の一体改革における社会保障の充実の財源としては、消費税財源二・八兆円程度及び持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律(平成二十五年法律第百十二号)に基づく重点化・効率化による財源を充てることとしていたところ、この重点化・効率化の現時点での見通しは〇・四兆円程度であり、両者を合わせれば三・二兆円程度となる。この財源の中から、「子ども・子育て」、「医療・介護」、「年金」の分野ごとにメニューを示した二・八兆円程度の社会保障の充実の実施に加え、仮に、消費税率引上げに伴う低所得者対策として、総合合算制度を実施する場合には、これに充てることが想定されていたところである。
 消費税の軽減税率制度を導入することとしたことに伴い、総合合算制度は、消費税率引上げに伴う低所得者対策としては実施しないこととなったが、現時点において重点化・効率化により〇・四兆円程度の財源を確保できる見通しであることから、総合合算制度相当額〇・四兆円程度を軽減税率制度導入の財源一・〇兆円程度の一部に充てたとしても、残りの〇・六兆円程度について、安定的な恒久財源を確保することにより、消費税率一パーセント分税収に相当する社会保障の充実二・八兆円程度を確保できる見通しである。

三及び五について

 先の答弁書(平成二十八年二月十六日内閣参質一九〇第三八号)一についてでお答えしたとおり、消費税の軽減税率制度の財源について、現時点で具体的な措置内容が念頭にあるわけではないが、今国会に提出した所得税法等の一部を改正する法律案附則第百七十条において、平成二十八年度末までに歳入及び歳出における法制上の措置等を講ずることにより、安定的な恒久財源を確保すること等としており、今後、歳入及び歳出両面にわたってしっかりと検討してまいりたい。
 いずれにせよ、先の答弁書(平成二十八年二月五日内閣参質一九〇第三一号)一についてでお答えしたとおり、軽減税率制度の導入について安定的な恒久財源を確保することにより、基礎年金の国庫負担割合の二分の一への引上げに要する財源として三・二兆円程度、社会保障の充実に要する財源として二・八兆円程度及び消費税率引上げに伴う社会保障四経費(制度として確立された年金、医療及び介護の社会保障給付並びに少子化に対処するための施策に要する費用)の増加に要する財源として〇・八兆円程度を確保するとともに、後代への負担の付け回しを七・三兆円程度軽減することができるものと考えている。