第190回国会(常会)
答弁書第五三号 内閣参質一九〇第五三号 平成二十八年二月二十三日 内閣総理大臣 安倍 晋三
参議院議長 山崎 正昭 殿 参議院議員大久保勉君提出ビットコイン等の検討状況に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。 参議院議員大久保勉君提出ビットコイン等の検討状況に関する質問に対する答弁書 一及び六について ビットコインを含むいわゆる仮想通貨(以下「仮想通貨」という。)については、従来から、関係省庁において連携を図りつつ、国際会議における各国との意見交換も含め、情報収集に取り組んでいるところである。 お尋ねの「諸外国における法的定義の状況」については、例えば、アメリカ合衆国、カナダ及び欧州では、仮想通貨と通貨との交換等を行う交換所(以下「仮想通貨の交換所」という。)に対し、次のとおり対応していると承知している。 アメリカ合衆国では、仮想通貨の交換所に対し、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与規制を課している。また、例えば、同国ニューヨーク州では、利用者保護の観点からの規制も課している。 カナダでは、仮想通貨の交換所に対し、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与規制を課すための法改正を行い、現在、関連規則を整備中である。 欧州では、ドイツのように、仮想通貨の交換所に対し、既にマネー・ローンダリング及びテロ資金供与規制並びに利用者保護の観点からの規制を課している国も存在するが、平成二十八年二月二日に欧州委員会が、今後、仮想通貨の交換所に対し、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与規制並びに利用者保護の観点からの規制を課すため、作業を進めていくことを表明している。 また、平成二十七年六月八日のエルマウ・サミット首脳宣言においては、「我々は、仮想通貨及びその他の新たな支払手段の適切な規制を含め、全ての金融の流れの透明性拡大を確保するために更なる行動をとる」とされ、さらに、三十四の国及び地域並びに二つの国際的な機関が参加するマネー・ローンダリング等に関する金融活動作業部会からは、仮想通貨の交換所に対し、登録制又は免許制を課すとともに、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与規制を課すことを各国に求める旨の文書(以下「FATF公表文書」という。)が同月二十六日に公表されていると承知している。 これらを踏まえ、金融審議会においては、仮想通貨に関する規制の在り方等について検討が行われ、同年十二月二十二日に、仮想通貨の交換所について登録制を導入し、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与規制並びに利用者保護の観点からの規制を課すべきであるとの報告が取りまとめられた。現在、金融庁を中心に、仮想通貨の交換所に関する制度整備等を行うための法案を今国会に提出すべく、作業を進めているところである。 二について 我が国の法律において、仮想通貨を明確に位置付けているものは存在しないと承知している。 なお、一及び六についてでお答えしたとおり、現在、金融庁を中心に、仮想通貨の交換所に関する制度整備を行うための作業を進めているところである。 三について 仮想通貨の売買の仲介や仮想通貨と通貨との交換、仮想通貨を預かる「口座」の開設及び当該口座間での仮想通貨の移転については、銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)第十条第一項各号、同条第二項各号及び第十一条各号に規定する銀行が営むことができる業務には該当しない。 また、お尋ねの行為を業とする会社への銀行の出資について、同法第十六条の三においては、銀行又はその子会社は、同法第十六条の二第一項に規定する子会社対象会社(同項第一号から第六号まで、第十一号、第十二号の二及び第十三号に掲げる会社(同項第十二号の二に掲げる会社にあっては、同号に規定する特別事業再生会社を除く。)並びに同法第十六条の三第八項に規定する特例対象会社に限る。)に該当する場合を除き、合算して、国内の会社の総株主等の議決権の五パーセントを超える議決権を取得し、又は保有してはならないとされているところであり、合算して、当該五パーセント以下の議決権を取得し、又は保有することは可能である。 四及び五について 仮想通貨と通貨との交換を行う業務については、我が国の現行法令において、「登録等」や「関係省庁への報告義務」の対象となっておらず、お尋ねの「所管する法令及び省庁」もないと考えている。 また、仮想通貨の交換所については、FATF公表文書において、通貨との交換を通じ、既存の金融システムとの出入口に当たることから、マネー・ローンダリング及びテロ資金供与規制の対象とすることが求められているものと承知している。 このため、一及び六についてでお答えしたとおり、現在、金融庁を中心に、仮想通貨の交換所に関する制度整備を行うための作業を進めているところである。 |