質問主意書

第190回国会(常会)

答弁書


答弁書第四〇号

内閣参質一九〇第四〇号
  平成二十八年二月十六日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員林久美子君提出地方自治体の所有不動産の未登記問題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員林久美子君提出地方自治体の所有不動産の未登記問題に関する質問に対する答弁書

一から四までについて

 お尋ねの「地方自治体の所有不動産の未登記件数及びそれに起因する地方自治体間の紛争の実態」については、政府として把握していない。また、「地方自治体の所有不動産の相当数が未登記であるという現状」についても把握していないため、「地方自治体の所有不動産の相当数が未登記であるという現状をどのように考えているか」についてお答えすることは困難であるが、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)附則第九条の規定により、不動産登記法の一部を改正する等の法律(昭和三十五年法律第十四号)附則第五条第一項に規定する土地又は建物についての表示に関する登記の申請義務については、なお従前の例によることとされており、「地方自治体の所有不動産」が未登記であることが許容されていることから、これが「不動産登記法の規定に反して違法」であるとは考えていない。
 不動産登記制度の目的は、不動産の権利関係を公示することによって取引の安全と円滑に資することにあるところ、「地方自治体の所有不動産」について表示に関する登記の申請義務を課さないとされているのは、「地方自治体の所有不動産」が一般の取引の対象となりにくいと考えられることなどに基づくものであって、現在もその趣旨は合理性を有していると考えられ、「その制度趣旨が適切とは言えない事情が生じている中で、その見直しを行わないことは問題」であるとは考えていない。また、不動産登記法上の申請義務が課されている場合と比較して「不公平」であるとの御指摘も当たらないものと考える。
 このようなことから、お尋ねの「当分の間」の期間について、現時点において具体的にお答えすることは困難であり、また、政府としては、「早急に全国の地方自治体における実態調査を行い、結果を公表するとともに、速やかに登記を行うよう地方自治体を指導すべき」とも考えていない。