質問主意書

第190回国会(常会)

答弁書


答弁書第一四号

内閣参質一九〇第一四号
  平成二十八年一月二十二日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員藤末健三君提出消費税の軽減税率制度の導入に伴う課題に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員藤末健三君提出消費税の軽減税率制度の導入に伴う課題に関する質問に対する答弁書

一について

 消費税の軽減税率制度については、社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律(平成二十四年法律第六十八号)第七条第一号ロに基づく消費税率の引上げに伴う低所得者への配慮として、導入することとしている。消費税の軽減税率制度の適用対象としている酒類及び外食を除く飲食料品並びに新聞(以下「適用対象品目」という。)に係る消費支出額の消費支出総額に占める割合について、総務省統計局の家計調査において公表されている平成二十五年の二人以上世帯の数値を用いて計算すれば、例えば、年間収入千五百万円以上の世帯ではおおむね十五パーセント程度となっている一方、年間収入二百万円未満の世帯ではおおむね三十パーセント程度となっており消費支出総額の三割程度に軽減税率が適用されることとなることから、消費税の軽減税率制度は、低所得者対策として有効であると考えている。消費税の軽減税率制度の導入による適用対象品目に係る消費税負担の収入に対する割合の軽減度合いについても、同局の家計調査において公表されている同年の二人以上世帯の数値を用いて計算すれば、低所得世帯の方が大きくなることから、いわゆる消費税の逆進性の緩和につながるものである。
 また、御指摘の「給付措置」の内容が必ずしも明らかではないため、消費税の軽減税率制度と御指摘の「給付措置」について、「低所得者への富の再分配効果」を比較することは困難である。

二について

 御指摘の「財務省は、飲食料品と外食との線引きが困難な、いわゆるグレーゾーンに相当するものが千二百件から千三百件に上るとしている」という事実はない。
 なお、「平成二十八年度税制改正の大綱」(平成二十七年十二月二十四日閣議決定。以下「大綱」という。)において、「軽減税率制度の導入に当たり混乱が生じないよう万全の準備を進めるため、政府に必要な体制を整備するとともに、事業者の準備状況等を検証しつつ、必要に応じて、軽減税率制度の円滑な導入・運用に資するための必要な措置を講ずる」こととしている。この一環として、中小企業団体等と連携し、講習会の開催、相談窓口の設置等を行い、事業者への制度の周知徹底を図ってまいりたい。

三について

 消費税軽減税率制度の導入に当たり混乱が生じないよう、政府に必要な体制を整備するとともに、事業者の準備状況等を検証しつつ、制度の円滑な導入・運用のための必要な対応を行うこととしている。
 その一環として、事業者に制度の周知を行うとともに、中小小売業者等が複数税率に対応するために必要なレジスターの導入や電子的な受発注システムの改修等について、準備が滞ることがないよう、資金支援を実施することとしている。

四について

 大綱において、「軽減税率制度の導入に当たり混乱が生じないよう万全の準備を進めるため、政府に必要な体制を整備するとともに、事業者の準備状況等を検証しつつ、必要に応じて、軽減税率制度の円滑な導入・運用に資するための必要な措置を講ずる」こととしており、平成二十九年四月に消費税の軽減税率制度を円滑に導入できるよう、政府として万全の準備を進めていく。
 また、消費税の軽減税率制度の導入に向けて、国税庁においては、事業者に対する制度周知、記帳指導及び納税者からの相談への対応等を行うことが必要となるほか、国税関係システムの改修を実施する必要があると考えている。
 平成二十八年度予算においては、これら業務への対応に係る執行体制の整備として、百三十二人の定員措置等のほか、リーフレット等による制度周知、説明会の開催及び電話照会への相談体制の整備の経費として約九・八億円、国税関係システムの改修に係る経費として約十・九億円を計上しているところである。

五について

 消費税の軽減税率制度の導入による消費税及び地方消費税の減収見込額は、一兆四百億円程度である。
 消費税の軽減税率制度の導入に当たっては、大綱において、財政健全化目標を堅持するとともに、社会保障と税の一体改革の原点に立って安定的な恒久財源を確保するため、平成二十八年度末までに歳入及び歳出における法制上の措置等を講ずること等としており、今後、歳入・歳出両面にわたって検討してまいりたい。