質問主意書

第190回国会(常会)

質問主意書


質問第一四七号

就職氷河期世代の実態把握と雇用対策に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十八年五月三十一日

吉川 沙織   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   就職氷河期世代の実態把握と雇用対策に関する質問主意書

 一九九〇年代前半のバブル経済崩壊を受け、企業が採用自体を中止したり、その門戸を大幅に狭めたりした年次に学校を卒業した就職氷河期世代は、就職にあたり極めて厳しい現実に直面し、結果、多くの者が望まない形で非正規雇用労働者となって社会に出ることを余儀なくされた。現在これらの者は、三十歳代半ばから四十歳代前半を迎えているが、依然として正社員に転換できず、職業能力開発の機会にも恵まれないまま、非正規雇用を続けているケースが少なくない。
 政府は、一億総活躍社会と銘打ち、平成二十八年五月十八日には「ニッポン一億総活躍プラン(案)」を公表したが、そこで示された「若者の雇用安定・待遇改善」の対象は二十五歳から三十四歳の若年層の不本意非正規雇用労働者であり、三十五歳以上は対象からはずれている。正規の職に就けないままでいる就職氷河期世代の実態を把握し、必要な支援を行うことは、真の意味での一億総活躍社会の実現に不可欠であり、今後の人口減少社会における経済成長や社会保障制度にも大きな影響を与える。
 こうした観点から、以下、質問する。

一 過去十年間における非正規雇用労働者数及び割合の推移について、年齢階級別に示されたい。

二 正規雇用の社員として働く機会がなく、非正規雇用で働いている不本意非正規雇用労働者数及び非正規雇用労働者に占める割合について、総数、男性、女性ごとに年齢階級別に示されたい。

三 過去十年間における、在学中の非正規雇用労働者及び世帯主の配偶者である女性のパート・アルバイトを除いた非正規雇用労働者数の推移について、年齢階級別に示されたい。

四 過去十年間におけるフリーター及び年長フリーター(フリーターの定義を三十五歳以上四十五歳未満に置き換えて集計したもの)の数の推移について、年齢階級別に示されたい。

五 過去十年間におけるニート及び年長ニート(ニートの定義を三十五歳以上四十五歳未満に置き換えて集計したもの)の数の推移について、年齢階級別に示されたい。

六 地方公共団体で実施された複数のひきこもりの実態調査によれば、就職氷河期世代とも重なる三十歳代と四十歳代のひきこもりが多い実態が明らかになっている。一方、内閣府は、平成二十二年七月、若者のひきこもりについて初めての全国実態調査の結果を公表したが、その対象は、満三十九歳までに限られている。政府として、就職氷河期世代のひきこもりについて実態を調査しているか、調査しているのであれば、その結果を具体的に示されたい。調査していないのであれば、早急に実態を把握すべきではないか。

七 就職氷河期世代が、不本意非正規労働者であることによる経済的損失を正しく把握し、的確な対応をとる必要があると考えるが、第百八十回国会参議院社会保障と税の一体改革に関する特別委員会における答弁(平成二十四年七月二十七日)を踏まえ、現時点における国税・地方税に与える影響額の試算を示されたい。

八 就職氷河期世代が、不本意非正規労働者であることにより年金財政に与える影響についての試算を示されたい。また、同世代が年金受給年齢を迎えた際の生活保護費についての試算を示されたい。

九 就職氷河期世代が三十歳代半ばを迎えたことを踏まえ、平成二十一年度には地域若者サポートステーションの対象年齢の上限がそれまでの三十四歳までから三十九歳までに引き上げられた。その経緯を踏まえ、四十歳代前半まで地域若者サポートステーションの対象年齢を引き上げる必要があるのではないか。また、若年者雇用全般について、四十歳代前半までを視野に入れた、対象年齢の引上げを始めとする施策の見直しが必要ではないか。

十 三十五歳以上の就職氷河期世代に対する雇用対策の重要性について、見解を示されたい。また、新たに、就職氷河期世代にスポットを当てた雇用対策をとる必要があると考えるが、認識を問う。

  右質問する。