質問主意書

第190回国会(常会)

質問主意書


質問第一三八号

安倍政権における政府広報費に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十八年五月三十日

山本 太郎   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   安倍政権における政府広報費に関する質問主意書

 政府による広報は、各省庁によって行われている広報と、内閣府政府広報室によって行われている広報があるが、平成二十四年十二月に安倍政権が発足して以降、一般会計予算に計上される内閣府所管の政府広報費だけをみても、年を追うごとに増額され、平成二十七年度および平成二十八年度一般会計予算では、各々八十二億九千七百六十一万二千円と、民主党政権時の四十億円台と比較すると、ほぼ倍増している。この事実を踏まえて、安倍政権における政府広報費に関して安倍内閣の認識を問うべく、以下質問する。

一 政府広報費を倍増させる必要を生じた特段の理由が、この数年のうちに新たに生じたのであれば、その理由、および安倍政権における政府広報費支出倍増の妥当性について安倍内閣としての見解を、具体的かつ明確に説明されたい。加えて、消費税増税を国民に課さねばならないほど、我が国の財政事情が厳しいというのであれば、このような政府広報費から、まず一番に削減し適正化すべきと考えるが、今後削減させていく意向はあるか。安倍内閣としての見解を、政府広報費の財政上の位置付けとともに、明確に示されたい。

二 前記一に関して、一般会計歳出予算各目明細書によれば政府広報費の約九割以上の金額を占める「啓発広報費」の積算内訳で約九割九分を占めているのが「雑役務費」である。平成二十五年度、平成二十六年度および平成二十七年度における、この雑役務費の詳細な積算根拠の内訳を各年度ごとに具体的、網羅的かつ明確に示されたい。

三 前記二に関して、平成二十五年度、平成二十六年度および平成二十七年度の雑役務費として計上された金額について、政府広報室が契約した広告代理店のうち、株式会社電通(以下「電通」という。)に対して支出された各年度ごとの合計金額を具体的に示されたい。加えて、電通に支出された各年度ごとの合計金額は、政府広報室が契約した電通以外の他社をも含めたすべての広告代理店に対して支出された各年度ごとの合計金額の約何パーセントを占めているのか、具体的に示されたい。

四 平成二十七年九月二十五日に私が提出した「安倍首相の「テレビ出演」に関する質問主意書」(第百八十九回国会質問第三二七号)の質問二で、安倍首相が出演番組内で「国民にしっかり説明せよと言われておりますので、総理大臣の役目として、こういう番組を通じて、国民の皆様に分かりやすく説明をしたい」と参議院我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会における審議に関して述べたことを指摘した上で、当該番組出演は「政治家個人としての活動ではなく、内閣総理大臣としての活動であったとの理解でよいか」と政府の認識を問うたところ、答弁書(内閣参質一八九第三二七号)の一、二及び四についてで「お尋ねの安倍内閣総理大臣のテレビ出演は、公務として行ったもの」との見解が示された。内閣府ホームページによれば、「政府広報」とは「政府の重要施策について、その背景、必要性、内容などを広く国民に知っていただき、これらの施策に対する国民の理解と協力を得ることを目的」としたものと説明されており、前記の安倍首相の意向を踏まえれば、安倍首相の当該番組出演は、まさしく「政府広報」活動に該当するものであると考えられるが、相違ないか、安倍内閣の認識を明確に示されたい。加えて、安倍首相の当該番組出演が政府広報活動に該当するとの認識である場合は、当該番組出演に際して、政府広報費から当該テレビ局あるいは当該番組制作会社さらに広告代理店等に支出が行われた事実は存在するか、支出が存在する場合は、支出先の具体的名称を支出された具体的金額と併せて明確に示されたい。

五 第二次安倍政権発足以降、平成二十七年九月十九日までの間に、「日本の安全保障」、「集団的自衛権」との語を含んだ政府広報は総計何種類、のべ何本発信されたか、網羅的かつ具体的に、広報内容の概略および広告媒体を含めてすべて列挙し示されたい。加えて、これらの政府広報に際して支出された政府広報費の総額を明確に示されたい。

六 第二次安倍政権発足以降、政府広報費を倍増させたことによって国民が得られた利益があれば、それらを可視化する指標とともに、具体的かつ網羅的に示されたい。

  右質問する。