質問主意書

第190回国会(常会)

質問主意書


質問第一二六号

米軍読谷補助飛行場跡地から検出された有害物質の処理に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十八年五月二十六日

糸数 慶子   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   米軍読谷補助飛行場跡地から検出された有害物質の処理に関する質問主意書

 二〇一四年の沖縄県の調査で、米軍読谷補助飛行場跡地から環境基準値を超えるダイオキシン類や鉛が検出されていたことが明らかになった。
 ついては、以下質問する。

一 環境問題の調査団体「インフォームド・パブリック・プロジェクト(IPP)」の河村雅美代表が沖縄県に対して行った情報公開請求によれば、沖縄県が県営畑地帯総合整備事業として整備している八十一・三ヘクタールの農地の西側四百二十三平方メートルの範囲から、最大で毒性等量(TEQ)一グラム当たり八千三百ピコグラムのダイオキシン類や、基準値の二十一倍以上となる一キログラム当たり三千二百ミリグラムの鉛が検出されたとされているが、政府の承知している事実関係を明らかにされたい。

二 前記一において検出されたダイオキシン類や鉛は環境基準値を超えていると認識しているか。

三 沖縄防衛局は、有害物質が検出された一帯については、二〇〇六年十二月の全面返還前でも自由に出入りができ、汚染物質の廃棄を行ったのが米軍とは限らないと主張しているが、同局が汚染物質の廃棄について米軍とは限らないと主張する根拠を明らかにされたい。

四 前記三について、米軍とは限らないとの主張は、言い換えれば、米軍による可能性もあるということである。米軍基地跡地において汚染問題が発覚した場合、政府が責任をもって米軍起因であるかどうかを調査する必要があると考えるが、いかがか。また、その上で、本件については米軍が読谷補助飛行場の土地をどのように利用していたのか、地歴をきちんと確認する必要があると考えるが、政府として米側に情報開示を求める考えはあるか、答弁されたい。

五 二〇一二年四月に施行された「沖縄県における駐留軍用地跡地の有効かつ適切な利用の推進に関する特別措置法」では、米軍に起因するものでなくとも国が原状回復義務を負うと規定されている。同法の趣旨からすれば、本件についても、米軍起因如何に関わらず、国に原状回復義務があると考えるが、政府の見解を示されたい。

六 現在、土地を所有している読谷村は、「廃棄物は二〇〇六年十二月の全面返還前に埋められていた」と指摘している。読谷補助飛行場が全面的に返還される前の管理者としての政府の責任について、見解を問う。

七 今回のように、米軍基地の返還跡地において、返還後に有害物質が検出され、当該汚染原因がはっきりしない(有害物質を廃棄したのが米軍であるとの明確な証拠がない)場合、有害物質はどこが処理するのか、答弁されたい。

八 本件も含めて、政府は、返還予定の米軍基地において、どのような調査を行い、安全確認をしているのか、明確にされたい。

九 米軍基地跡地における環境汚染問題が多発している。土中の有害物質を放置しておけば、地下水の深刻な被害を引き起こす可能性も考えられる。周辺住民のくらしを守るため、返還予定でない米軍基地についても、定期的に環境調査を行うべきと考えるが、政府の見解を示されたい。

  右質問する。