質問主意書

第190回国会(常会)

質問主意書


質問第一二二号

不登校施策の現状に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十八年五月二十五日

山本 太郎   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   不登校施策の現状に関する質問主意書

 不登校に対する支援に対しては、国民から多くの要望があり、我が国の教育政策を考えるうえでも大切な観点であると考える。
 よって、不登校の現状について以下質問する。

一 不登校生徒の高校入学者選抜について

1 不登校、障がい者、帰国子女及び外国籍の生徒等マイノリティの立場の子どもに対する配慮の状況はいかなるものか。特別な配慮を行っている状況の都道府県ごとの経年変化、都道府県や政令指定都市が行う配慮について、政府が把握するところを示されたい。
2 不登校生徒に対し、調査書を使わず学力や面接等で高校入学者選抜をしている都道府県及び政令指定都市は十年前と現在ではそれぞれいくつあるか。
3 前記一の1及び2に関し、まだ配慮を行っていない都道府県については新たな通知等により、学習や登校を強制せずに、子どもの権利の尊重や地域の実情に配慮した施策の喚起を行うことを考えているか。

二 教育支援センター(適応指導教室)について

1 教育支援センターにおける高校生の受け入れについて、どの都道府県が行い、そのような教育支援センターは全国にいくつあるか。
2 教育支援センターを民間に運営委託している都道府県はいくつあるか。また、民間委託の教育支援センターの数を当該都道府県別に示されたい。
3 学科指導教室「ASU」の事例のように、調査書を独自で出すタイプの教育支援センターは、現在、全国でいくつあるか。
4 教育支援センターは、児童生徒の事情によっては、必ずしも学校復帰を目的とするだけではなく、ただ自分らしくいるだけの場としての居場所的機能等が大切であり、登校刺激を行うことは適切でないと考えるが、教育支援センターの運営理念はこのような認識でよいか。

三 地方自治体のフリースクールへの財政支援について

 「鳥取県フリースクール連携推進事業補助金交付要綱」等のような形で、フリースクールに財政支援を行う等の文言を持つ要綱や条例等を備える自治体を把握しているか、把握しているなら全国でいくつあるのか、また、その効果等を示されたい。

四 不登校児童生徒のIT等を使った自宅学習等について

1 不登校児童生徒に対して、ITを使った自宅学習等について、成績や指導要録上の出席日数へのカウントを小学校、中学校及び高等学校で認めている都道府県はいくつあり、それに該当する不登校児童生徒は各都道府県で何人いるのか。
2 文部科学省初等中等教育局児童生徒課による「平成二十六年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」について」の三十二ページの記載によると小中学生で約十二万二千人以上いる不登校児童生徒のうち、自宅におけるIT等を活用した学習活動を指導要録上出席扱いとした児童生徒数は僅か二百五十人である。あまりに少ないと言わざるを得ない。これにはどのような理由があると考えているか、また通知等で子どもの権利擁護を趣旨として再度利用の促進等を周知することは考えていないのか。

五 不登校児童生徒の進路について

 現在の制度で不登校児童生徒が、高等学校卒業程度認定試験に合格せずとも、あるいは高等学校を卒業せずとも大学や大学院へ行く方法はあるのか。

六 夜間中学について

1 中学校在籍者は夜間中学に転籍できないと考えるが、「義務教育修了者が中学校夜間学級への再入学を希望した場合の対応に関する考え方について(通知)」等の通知その他を基に不登校等で夜間中学に転籍を希望する者に対して転籍を認める措置を各都道府県等において取っている事例はあるのか。
2 大阪市立天王寺中学校、東京都千代田区立神田一橋中学校には通信教育課程があるが、都府以外で全国からどれだけの生徒を受け入れたか、その実績を示されたい。またこの取り組みをIT化等も含め、施策として全国的に展開や周知する予定はあるのか。

七 不登校児童生徒の発達障がいの割合について

 不登校児童生徒のうち、発達障がいと診断を受けた者の各都道府県別の実数を調査した資料はあるのか、また医療機関等に通院する者や、投薬を受けている者の人数を把握しているか。

八 不登校児童生徒の個人情報の取扱いについて

 「個人情報の保護に関する法律についての経済産業分野を対象とするガイドライン」二十ページでは不登校は「問題行動」と認識されているが、どの部分が問題なのか。

九 不登校に対する認識について

 文部科学省は資料「現行の就学義務履行の督促の仕組み」にて、不登校を校長が出席の督促の前提となる通知を行わない「正当な事由」としているが、その認識に変化はないか。

  右質問する。