質問主意書

第190回国会(常会)

質問主意書


質問第一一一号

日台関係及び「日台関係基本法」の制定に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十八年五月十一日

江口 克彦   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   日台関係及び「日台関係基本法」の制定に関する質問主意書

 米国が必ずしも「世界の警察」としての機能を果たしきれているとはいえない現在、我が国をとりまくアジア情勢にも変化が生じてきている。世界経済に及ぼす中国の影響の増大、南シナ海における中国の進出、北朝鮮の一層の独裁強化と核大国への邁進といった事態は、その典型的なものである。加えて、我が国に米軍駐留経費の全額負担を求め、核保有を容認する米国大統領候補の出現といった予想外の事態もある。
 こうした状況において、我が国の平和と安全及び経済の発展を日米安保体制だけに委ねてよいのか疑問がある。
 そこで、日本列島と台湾海峡の地理的関係、歴史的経緯、現代における文化経済の交流の実態等を踏まえ、台湾との関係についても、改めて整理し、我が国と台湾との外交に法的根拠を与えるなどの必要な措置を講じる必要があるのではないか。
 以下、台湾に関する政府の認識を確認するとともに、我が国と台湾との外交の法的根拠となる「日台関係基本法」の制定について質問する。

一 我が国と台湾との関係及び我が国の台湾に対するスタンスについて、現在の政府の見解を明らかにされたい。

二 本年一月十六日の台湾の総統選挙及び立法院選挙の結果について、政府の認識を示されたい。また、我が国と台湾との関係、台湾と中国との関係、ひいては我が国と中国との関係への両選挙の影響についてどのような分析を行っているか、明らかにされたい。

三 台湾からは、東日本大震災当日に支援の申入れをいただき、翌日には馬英九総統が「日本政府の要請に応じ早急に救援隊を派遣する」と表明された。また、政府民間合わせて六十三名の救援隊、世界で二番目に多い百億円を超える義援金、五百トン以上の支援物資など多くの支援をいただいた。また、今般の平成二十八年(二〇一六年)熊本地震に際しても、最初の震度七の地震の翌日には馬英九総統から安倍総理宛に見舞い状が届き、熊本県に対し、台湾当局から一千万円の義援金が、台湾民進党から約三百四十万円の義援金が、それぞれ寄附されたほか、多くの支援の申出があったという。
 政府は、こうした台湾からの支援にどのように謝意を伝え、今後もこのような友好関係が維持されるよう、どのようなメッセージを送ったのか。

四 台湾では我が国のアニメ、アイドル、ファッションなどが絶大な人気を博すなど文化・音楽の交流が盛んである。また、観光による人の往来や貿易も盛んなことから、我が国と台湾との関係は益々強くなっていくものと考えるが、政府の今後の日台関係に関する方針を示されたい。また、安倍外交における台湾の位置づけを明らかにされたい。

五 平成二十五年に、「日本李登輝友の会」が、我が国が外交交渉相手として台湾の地位を法的に明確に規定する必要性を踏まえ、平等互恵を原則とする日台関係の発展を目的とする「日台関係基本法」の早期制定を求める「政策提言」をとりまとめ、安倍総理はじめ関係大臣等に提出したと聞いている。

1 政府がそうした政策提言を受け取った事実はあるか。
2 前記五の1について、政策提言を受け取った事実があるのであれば、その概要を明らかにされたい。
3 前述の日台関係基本法のような台湾との外交の法的根拠となる法律の制定の必要性について、政府の見解を明らかにされたい。
4 前記五の3で示した法律の制定につき、これまでに検討したことがあるか、ある場合にはその内容を含め示されたい。

  右質問する。