質問主意書

第190回国会(常会)

質問主意書


質問第九〇号

難民認定状況に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十八年三月二十四日

石橋 通宏   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   難民認定状況に関する質問主意書

一 難民認定実務の実績について

1 二〇〇五年から二〇一五年末までの難民認定申請件数と難民認定件数を示されたい。またすべての難民認定理由(政治的意見、宗教などのカテゴリー)を示されたい。
2 二〇一五年末時点で、難民申請中の人数、異議申立て継続中の人数、同日時点での収容の有無、申請年ごとの内訳及び国籍の内訳とその人数をそれぞれ示されたい。また、このうち二〇一四年十月以前の難民認定申請者については、いまだに申請が継続している理由を明らかにされたい。
3 二〇一五年に異議申立ての結果が出た審査件数と、難民認定申請を行ってからの平均審査期間を示されたい。このうち、認定、不認定別の平均審査期間についても明らかにされたい。
4 二〇一五年に難民認定された全員について、申請の処理に要した期間(申請日から認定の結果がなされた日までの日数)を示されたい。
5 二〇〇五年から二〇一五年末までの難民認定手続の一次審査で医師、臨床心理士、その他これに準ずるものが同席した数を示されたい。
6 二〇〇五年から二〇一五年末までの難民認定手続の一次審査の平均処理期間を示されたい。
7 二〇〇五年から二〇一五年末までの認定と不認定の案件それぞれの一次審査におけるインタビューの平均回数を示されたい。また、不認定となった案件のうち、インタビューがなされなかった件数及びその理由を明らかにされたい。
8 二〇〇五年から二〇一五年末までの難民不認定取消し又は無効訴訟の裁判件数、また訴訟が提起された件数及び難民認定申請者が勝訴した件数を示されたい。
9 二〇一五年中に仮滞在を許可した人数、不許可の人数及びその平均審査期間を示されたい。
10 二〇一五年中の我が国の国際空港における難民認定申請の件数を示されたい。このうち、仮滞在を許可した人数と、不許可の人数及び仮滞在不許可の場合はその理由別の人数を明らかにされたい。
11 二〇一五年中に行われた難民認定申請に際し、難民認定申請書が日本語以外の言葉で書かれていた件数を言語別に示されたい。このうち、入国管理局として翻訳サービスを提供した件数を言語別に示されたい。

二 複数回申請者の難民認定状況について

 二〇一五年に難民として認定された人(異議申立手続における認定者を含む)の中で、二回目以降の難民認定申請手続又は異議申立手続において難民認定を受けた者の数又は人道配慮による在留許可者の数を明らかにされたい。

三 難民審査参与員制度について

1 二〇〇五年五月十六日から二〇一五年十二月末までに異議申立手続で決定が出された事案について、「理由あり」とされた事案と「理由なし」とされた事案の件数をそれぞれ示されたい。
2 前記三の1の「理由なし」とされた事案中で、複数の難民審査参与員から難民として認定する旨の意見が提出されたにもかかわらず、法務大臣が不認定とした事案の件数、そのすべての事案の国籍と理由を明らかにされたい。
3 前記三の1の「理由なし」とされた事案中で、難民審査参与員が一名でも難民として認定する旨の意見を提出した事案の件数を示されたい。また、その事案中で人道配慮を受けた者の数及びその後の手続で難民認定又は人道配慮を受けた者の数を示されたい。
4 二〇〇五年五月十六日から二〇一五年十二月末までの期間に難民審査参与員を経験した全百九名について、①元外交官、②元裁判官、③元検事、④元弁護士(日弁連推薦)、⑤商社等海外勤務経験者、⑥海外特派員経験者(ジャーナリスト)、⑦NGO・国際関係機関の勤務経験者、⑧①、⑤、⑥及び⑦以外の地域情勢や国際問題に明るい者、⑨国際法の専門家(学者)、⑩国際法以外の法律の専門家(学者)の分類で、それぞれの人数及び各人が何件の認定意見を出したか明らかにされたい。
5 二〇〇五年から二〇一五年十二月末までで、難民認定意見を一度も出したことのない難民審査参与員の数を、前記三の4のカテゴリーごとに示されたい。
6 難民審査参与員は、自身が関わったケースについて外部、とりわけメディアに対して心証開示することをどこまで了解されているのか説明されたい。

四 保護費の支給状況について

1 二〇一〇年度から二〇一四年度、及び二〇一五年度(十二月末まで)のそれぞれの保護費の申請者数、受給していた者の数、難民認定申請者緊急宿泊施設(ESFRA)の利用者数、国籍を示されたい。
2 二〇一〇年度から二〇一四年度、及び二〇一五年度(十二月末まで)のそれぞれの保護費を受給していた者の申請後から受給決定までの待機の平均期間、受給している者の平均受給期間を示されたい。また保護費の待機期間の算出方法はどの段階を始期としているのかも明らかにされたい。
3 二〇〇五年四月から二〇一五年十二月末までで保護費を申請したが受給できなかった者の数、国籍、申請から受給結果がでるまでの待機の平均期間を明示されたい。また受給できなかった理由を明示されたい。
4 二〇〇五年四月から二〇一五年十二月末までで保護費を受給できた者のうち、在留資格の有無とその在留資格の類型別の人数を示されたい。
5 二〇〇五年度から二〇一四年度、及び二〇一五年度(十二月末まで)のそれぞれの保護費の金額、生活費、住居費、医療費の金額を示されたい。

五 難民認定の実務について

1 難民認定されている人の中で、「新しい形態の迫害」に当たる人は含まれているか。いるならばそれはどのような迫害か説明されたい。
2 法務省がいう難民認定制度の「濫用」の定義を明らかにされたい。また、二〇一〇年から二〇一五年末までの難民認定制度濫用の件数を示されたい。

六 抜本的な改革について

 今、世界各地で難民問題が深刻化する中で、難民庇護の取組は国際社会共通の課題であり、我が国にとっても重要な責務である。現在の状況を打破し、真の難民を確実かつ積極的に庇護するために、現在の制度・運用の見直しを含めた抜本的な改革を推進することが必要だと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。