質問主意書

第190回国会(常会)

質問主意書


質問第八七号

国家戦略特別区域(成田市)における世界最高水準の「国際医療拠点」としての医学部及び附属病院新設に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十八年三月十五日

水野 賢一   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   国家戦略特別区域(成田市)における世界最高水準の「国際医療拠点」としての医学部及び附属病院新設に関する質問主意書

一 内閣府の「国家戦略特別区域における医学部新設に関する方針」(平成二十七年七月三十一日内閣府・文部科学省・厚生労働省決定)では、「国内外の優れた医師を集め、最高水準の医療を提供できる、世界最高水準の「国際医療拠点」をつくるという国家戦略特区の趣旨を踏まえた、国際的な医療人材の育成のための医学部新設の方針を定める。」と述べられているが、そのための留意点(必要な条件整備)として、「国際医療拠点としてふさわしい留学生の割合」、「国際医療拠点としてふさわしい外国人教員の割合」、「一定年数以上の海外での診療経験や教育経験を有する教員の確保」、「診療参加型臨床実習期間の十分な確保」、「大多数科目での英語による授業の実施」、「全ての学生による十分な期間の海外臨床実習の実施」、「公衆衛生に関する専門職大学院の設置」、「海外の大学との学生交流に関する協定の締結」の八項目が取り上げられている。世界最高水準の国際医療拠点としてみなされるためには、各項目においてどのような具体的な数値目標を持っているか。もし数値目標を持っている場合には、諸外国との国際比較を踏まえた上で各数値を目標とした根拠を示されたい。また数値目標を持っていない場合には、その理由と共に、新設される国際医療福祉大学医学部が「世界最高水準の「国際医療拠点」としての医学部」であることを示すためにどのようなことを担保するのかを明らかにされたい。

二 平成二十五年九月十一日に開催された国家戦略特別区域ワーキンググループ提案に関するヒアリングに提出された、成田市と国際医療福祉大学によるプレゼンテーション「国際医療学園都市構想」によれば、医学部の入学定員百四十名のうち二十名は海外からの留学生を含め国際舞台での医療の担い手となる人材として教育するが、百二十人は国内の医師不足の解消を図るため、地域医療の担い手として教育するとされている。しかし百四十名中二十名(十四%)では世界最高水準の「国際医療拠点」のための医療人材の育成とは言えないという指摘もある。世界最高水準の「国際医療拠点」であることを示すためには、入学定員を百%国際的な医療人材とすること、すなわち発展途上国からの留学生や将来国際救護等の国際的な医療援助や国際的な医療保健機関で働くことを志向する医師のみの育成とし、卒業後は一定期間(自治医科大学と同様の九年間程度)の海外赴任を義務づけることを文部科学省による医学部新設の認可要件とすべきという考え方にも首肯できる点があると思うが、政府の認識を示されたい。

三 世界最高水準の「国際医療拠点」であるためには、附属病院における診療においても、一般医療は周辺の地域医療に影響を与えない程度の必要最小限に抑え、大半を国内に滞在する外国人の診療、海外からの医療ツーリズムに対する診療、国際援助としての発展途上国における難病患者の診療、難民や戦傷者の診療等に限定することとし、これを附属病院の認可要件とするのが国家戦略特区として設立の主旨に適うという指摘にも道理があると考えるが政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。