質問主意書

第190回国会(常会)

質問主意書


質問第五九号

北朝鮮の「特別調査委員会」解体宣言等に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十八年二月十八日

有田 芳生   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   北朝鮮の「特別調査委員会」解体宣言等に関する質問主意書

 北朝鮮が日本による独自制裁の復活と強化に反発して取った対抗措置などについて質問します。

一 政府は本年二月十日、北朝鮮による四回目の核実験と事実上の長距離弾道ミサイル発射を受け、日本独自の対北朝鮮措置(以下「独自措置」とする)の実施を決定しました。これは、国連安全保障理事会での制裁決議に関する協議が進展しないことを見越して、日本独自の制裁強化策を打ち出したものと理解してよろしいですか。この時期における独自措置の実施が妥当であると判断した根拠について、政府の見解をお示し下さい。

二 北朝鮮は二月十二日、日本が北朝鮮に対する独自措置を決めたことに反発し、日朝ストックホルム合意に基づく日本人に関する包括的な調査を全面的に中止し、「特別調査委員会」を解体すると宣言しました(以下「対抗措置」とする)。政府は、独自措置を実施すれば、北朝鮮が対抗措置を取ってくることを事前に想定していましたか。政府の認識をお示し下さい。

三 政府は、北朝鮮が対抗措置を表明したことにより、二〇一四年五月の日朝ストックホルム合意は北朝鮮側によって破棄されたものと捉えていますか。また、この日朝ストックホルム合意を今後どうするのか、政府の方針についてお示し下さい。

四 政府は、二月十日の「我が国独自の対北朝鮮措置について」の中で、「我が国は、拉致、核、ミサイルといった諸懸案を包括的に解決するために何が最も有効な手段かという観点から真剣に検討してきた結果、以下の独自措置を実施することを決定した」としています。政府は、この独自措置によって、拉致、核、ミサイルといった諸懸案が必ず解決するとの確固たる見通しをお持ちですか。「有効な手段」だと判断した客観的根拠について、その認識をお示し下さい。

五 菅官房長官は二月十五日の記者会見において、北朝鮮の対抗措置について「極めて遺憾で全く受け入れることができない」と非難した一方で、「対話の窓口を我が国から閉ざすことなく、拉致問題の解決に向けて全力で取り組んでいく姿勢に変わりはない」と述べ、今後も調査再開を要求していく考えを示しています。政府は、今後の調査再開に向けた打開策をすでに持っているのですか。それとも、打開策も持たずに独自措置を国連安全保障理事会の追加制裁決議に先行して実施したのですか。その認識をお示し下さい。

六 加藤拉致問題担当大臣は二月八日、拉致被害者家族会と面会し、日本の独自措置等、政府の取り組みを説明しています。ところが、日朝ストックホルム合意には拉致被害者だけでなく、日本人の遺骨及び墓地、残留日本人、いわゆる日本人配偶者及び行方不明者も明記されています。政府は拉致被害者家族会以外にも政府の取り組みを説明したのでしょうか。説明をしたのなら、それは家族会以外のどのような人たちでしょうか。もし家族会だけならば、その理由を明確にお示し下さい。

  右質問する。