質問主意書

第190回国会(常会)

質問主意書


質問第四六号

拉致被害者の認定に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十八年二月十日

有田 芳生   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   拉致被害者の認定に関する質問主意書

 北朝鮮当局によって拉致された被害者等の支援に関する法律(平成十四年法律第百四十三号。以下「支援法」とする)第二条に基づく被害者の認定に関し質問します。

一 私は、平成二十五年三月二十六日付けで「「拉致問題に関する認定分科会」に関する質問主意書」(第百八十三回国会質問第六四号)を提出しました。政府は、その答弁書(内閣参質一八三第六四号。以下「答弁書第六四号」とする)一についてで、「御指摘の認定分科会については、平成二十四年三月三十日及び同年六月十三日に計二回開催した」と答えています。
 政府は、答弁書第六四号以降に認定分科会を開催しましたか、開催したのなら具体的にお示し下さい。

二 政府は、平成二十四年三月三十日開催の拉致問題認定分科会第一回会合で、認定三条件(①北朝鮮による国家的意思が推認される形で、②本人の意思に反して、③北朝鮮に連れていかれたもの)を挙げています、政府は、この認定三条件をいまも変更していませんか、お示し下さい。

三 私は、平成二十五年二月二十八日付けで「拉致被害者の認定基準に関する質問主意書」(第百八十三回国会質問第四三号。以下「質問第四三号」とする)を提出しました。政府は、その答弁書(内閣参質一八三第四三号。以下「答弁書第四三号」とする)一から三まで及び五から十三までについてで、「また、その認定の在り方については、不断の検討が必要であると認識している」と答えています。政府は、答弁書第四三号以降、どのような「不断の検討」を行ってきましたか、具体的にお示し下さい。

四 首相官邸のホームページによると、支援法第二条に基づく被害者の認定は、平成十八年十一月の松本京子さん以降途絶えています。政府は、被害者の認定が増えない原因はどこにあると認識していますか、その理由をお示し下さい。また、警察庁が公表した平成二十七年七月二十七日現在の「年代別 捜査・調査対象者数」によりますと、昭和三十四年までが四十三人、平成十二年以降が三十五人、ほか各年代を合わせると合計で八百七十七人の北朝鮮による拉致の可能性を排除できない失踪者が存在しています。政府は、半世紀以上にも及ぶ北朝鮮による拉致の可能性が存在するなかで、なぜ十年以上も支援法第二条に基づく被害者の認定が増えないと認識していますか、そこにおいて警察庁が行っている捜査・調査の手法に問題はないとお考えですか、お示し下さい。

五 支援法第二条に基づく被害者の認定は、昭和五十二年から昭和五十八年の間の失踪者に集中しています。政府は、なぜこの時期に失踪者が集中していると認識されていますか、その理由をお示し下さい。

六 私は、平成二十五年五月三十日付けで「飯島内閣官房参与訪朝と拉致問題に関する質問主意書」(第百八十三回国会質問第一〇八号)を提出しました。政府は、その答弁書(内閣参質一八三第一〇八号)五についてで、「現在、政府が法第二条に基づき拉致被害者として認定している十七名については、関係機関の捜査・調査の積み上げの結果、北朝鮮による拉致行為があったと確認された場合に認定したものである」と答えています。全国の都道府県警察をして徹底した捜査・調査がなされているにも関わらず拉致被害者の認定が増えないのは、政府が、これ以上拉致被害者の認定を増やさないと決めているからではないですか、政府の見解をお示し下さい。

七 私が、質問第四三号質問四で「政府は、政府認定者を十七名以上に増やさないと、北朝鮮と約束しているのではありませんか」と質問したところ、政府は答弁書第四三号四についてで「御指摘の事実はない」と答えています。ところが、昨年秋には、政府関係者から「拉致被害者の認定については、北朝鮮側に反論する材料を与えることがないよう、慎重に対応している」との見解が示されました。政府は、こうした認識では「私の内閣で拉致問題を解決する」と明言している安倍首相の政治姿勢に反すると判断されませんか。支援法第二条に基づく被害者の認定が一向に進まないのは、北朝鮮側の反論を恐れる政府の姿勢に原因があるのではないですか、政府の見解をお示し下さい。

  右質問する。