質問主意書

第190回国会(常会)

質問主意書


質問第四〇号

地方自治体の所有不動産の未登記問題に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十八年二月八日

林 久美子   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   地方自治体の所有不動産の未登記問題に関する質問主意書

 不動産登記法第四十七条第一項は、「新築した建物又は区分建物以外の表題登記がない建物の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から一月以内に、表題登記を申請しなければならない。」とし、また、同法第百六十四条は、「第三十六条、第三十七条第一項若しくは第二項、第四十二条、第四十七条第一項(第四十九条第二項において準用する場合を含む。)、第四十九条第一項、第三項若しくは第四項、第五十一条第一項から第四項まで、第五十七条又は第五十八条第六項若しくは第七項の規定による申請をすべき義務がある者がその申請を怠ったときは、十万円以下の過料に処する。」と規定する。
 しかしながら、地方自治体の所有する不動産の中には、所有権保存登記はもとより、表示の登記もされていないものが相当数存在するだけでなく、それが都道府県と市町村の間の紛争の遠因となっている例もあると言われている。
 そこで、このような地方自治体の所有不動産の未登記問題の抜本的解決に向け、政府の現状認識と同問題の解決策につき、以下質問する。

一 政府は、このような地方自治体の所有不動産の未登記件数及びそれに起因する地方自治体間の紛争の実態を把握しているのか。把握しているのであれば、都道府県別の未登記件数等について、示されたい。また、地方自治体の所有不動産の相当数が未登記であるという現状をどのように考えているか、政府の見解を明らかにされたい。

二 前記一に関して、仮に、そのような現状を把握していないとすれば、早急に全国の地方自治体における実態調査を行い、結果を公表するとともに、速やかに登記を行うよう地方自治体を指導すべきと考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

三 地方自治体の所有不動産の相当数が未登記であるという現状は、不動産登記法の規定に反して違法であると考えるが、政府の見解を明らかにされたい。違法でないと解する場合は、その法令上の根拠を明らかにされたい。仮に、法令上の根拠が、同法附則第九条において引用する不動産登記法の一部を改正する等の法律(昭和三十五年法律第十四号)附則第五条第一項であるとするならば、同項の「当分の間」とはどれくらいの期間か。また、その制度趣旨が適切とは言えない事情が生じている中で、その見直しを行わないことは問題と考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

四 国民に対しては、不動産登記法の規定により過料をもって表示の登記申請義務を課しているにもかかわらず、地方自治体の表示に関する登記の申請義務を免除することは不公平ではないか。政府の見解を明らかにされたい。

  右質問する。