質問主意書

第190回国会(常会)

質問主意書


質問第二〇号

日朝ストックホルム合意文書に関する質問主意書

右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。

  平成二十八年一月二十日

有田 芳生   


       参議院議長 山崎 正昭 殿



   日朝ストックホルム合意文書に関する質問主意書

 平成二十六年五月二十九日、ストックホルムにおいて日本と北朝鮮との間で合意した内容(以下「合意文書」とする)について質問します。

一 合意文書には「双方は、日朝平壌宣言に則って、不幸な過去を清算し、懸案事項を解決し、国交正常化を実現するために、真摯に協議を行った」とあります。北朝鮮が平成二十八年一月六日に実施した核実験は、日朝平壌宣言にも日朝ストックホルム合意にも違反していると政府はお考えですか。違反しているとお考えなら、日本は北朝鮮との国交正常化の実現を求めないと理解してよろしいですか。

二 合意文書には「日本側は、北朝鮮側に対し、1945年前後に北朝鮮域内で死亡した日本人の遺骨及び墓地、残留日本人、いわゆる日本人配偶者、拉致被害者及び行方不明者を含む全ての日本人に関する調査を要請した」とあります。
 政府において、「1945年前後に北朝鮮域内で死亡した日本人の遺骨及び墓地、残留日本人、いわゆる日本人配偶者、拉致被害者及び行方不明者」に関する課題(以下「人権人道課題」とする)を所管する部局はそれぞれどこなのか、具体的な担当課名を明らかにして下さい。また、合意文書締結後、人権人道課題を所管する担当部局が集まって会議を開いた実績はありますか。あるのなら、会議の名称、会議を主宰する部局、及び会議実績について明らかにして下さい。あわせて、人権人道課題以外の日本人に関する調査とは具体的に何を指すのかを明らかにして下さい。

三 合意文書には「行方不明者」とありますが、これは警察庁が拉致の可能性を排除できない行方不明者として全国で捜査・調査している、いわゆる特定失踪者のことですか。警察庁は、平成二十七年七月二十七日現在でこれらの行方不明者数は全国で八百七十七人存在することを明らかにしています。合意文書にある行方不明者は、この八百七十七人のことですか。

四 合意文書には「日本側は、これに応じ、最終的に、現在日本が独自に取っている北朝鮮に対する措置(国連安保理決議に関連して取っている措置は含まれない。)を解除する意思を表明した」とあり、事実、平成二十六年七月に一部を解除しています。
 ところが、北朝鮮は平成二十八年一月六日に核実験を強行しました。このことにより、政府は一部解除した「現在日本が独自に取っている北朝鮮に対する措置」をかけ直す方針ですか。その場合、北朝鮮が反発して日朝ストックホルム合意を破棄、または無期延期等の対抗措置を取ってくることを想定していますか。

五 合意文書には日本側の対応として「第七に、人道的見地から、適切な時期に、北朝鮮に対する人道支援を実施することを検討することとした」とあります。この人道的見地とは、具体的にどのような見地なのでしょうか。また、人道支援とは具体的にどのような支援を指すのでしょうか、その内容をお示し下さい。

六 合意文書には北朝鮮側の対応として「第二に、調査は一部の調査のみを優先するのではなく、全ての分野について、同時並行的に行うこととした」(以下「北朝鮮側第二」とする)とあり、日本側もこれに同意しています。
 しかしながら、安倍首相は平成二十六年三月二十八日に家族会と面談した際に、「言うまでもなく、安倍政権は拉致問題を最重要課題、最優先課題として取り組んでいます」と語っています。この安倍首相の発言は、合意文書の北朝鮮側第二の趣旨と相反していますが、政府の見解についてお示し下さい。

七 政府が同意した北朝鮮側第二の趣旨は、北朝鮮側が各人権課題について同時並行的に調査をし、日本側も調査報告は一部の調査報告のみを優先するのではなく、全ての分野について同時並行的に受け取ることとしたと理解してよろしいですか。

  右質問する。