質問主意書

第189回国会(常会)

答弁書


答弁書第三八五号

内閣参質一八九第三八五号
  平成二十七年十月六日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員小西洋之君提出限定的な集団的自衛権行使の新三要件の趣旨に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員小西洋之君提出限定的な集団的自衛権行使の新三要件の趣旨に関する質問に対する答弁書

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、憲法第九条の下で許容される「武力の行使」は、あくまでも、「国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について」(平成二十六年七月一日閣議決定)でお示しし、平成二十七年九月十九日に成立した我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律(平成二十七年法律第七十六号。以下「改正法」という。)による改正後の自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第七十六条第一項及び第八十八条並びに改正法による改正後の武力攻撃事態等及び存立危機事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律(平成十五年法律第七十九号)第二条第二号及び第四号、第三条第三項及び第四項並びに第九条第二項第一号ロに明記されている「武力の行使」の三要件(以下「新三要件」という。)に該当する場合の自衛の措置としての「武力の行使」に限られており、新三要件の第一要件にいう「我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある」とは、他国に対する武力攻撃が発生した場合において、そのままでは、すなわち、その状況の下、武力を用いた対処をしなければ、国民に我が国が武力攻撃を受けた場合と同様な深刻、重大な被害が及ぶことが明らかな状況であるということをいうものと解される。
 御指摘の平成二十七年七月二十八日の参議院我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会における横畠内閣法制局長官の答弁は、衆議院議員島聡君提出政府の憲法解釈変更に関する質問に対する答弁書(平成十六年六月十八日内閣衆質一五九第一一四号)二についてにおいては、外国の武力攻撃によって国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆されるという急迫、不正の事態に当てはまる場合は我が国に対する武力攻撃が発生した場合に限られるという当時の事実認識の下、集団的自衛権一般の行使について、「国民の生命等が危険に直面している状況下で実力を行使する場合とは異なり、憲法の中に我が国として実力を行使することが許されるとする根拠を見いだし難く、政府としては、その行使は憲法上許されないと解してきたところである。」とされているのに対し、新三要件の下での限定された集団的自衛権の行使は、新三要件の第一要件の「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること」を満たす状況を前提として許されるものである旨を述べたものである。