質問主意書

第189回国会(常会)

答弁書


答弁書第三四四号

内閣参質一八九第三四四号
  平成二十七年十月六日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員牧山ひろえ君提出医療に関する適切な税制に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員牧山ひろえ君提出医療に関する適切な税制に関する質問に対する答弁書

一の1について

 政府としては、平成元年の消費税導入時及び平成九年の消費税率引上げ時において、医療機関等が仕入れに要した消費税負担分について、中央社会保険医療協議会において議論を行い、診療報酬点数への上乗せを行うなど、適切に対応してきているところである。また、その後、消費税負担分を含めた医療機関等の費用を医療経済実態調査で把握し、医療機関等の経営実態等を踏まえて、診療報酬改定を行ってきていることから、現時点での診療報酬は全体として医療機関等における消費税負担分を踏まえた水準に設定されているものと考えている。

一の2について

 現在、厚生労働省において、平成二十六年度診療報酬改定において実施した消費税率八パーセントへの引上げに伴う診療報酬による補填状況の把握を行っているところである。今後、補填状況を踏まえ、診療報酬調査専門組織・医療機関等における消費税負担に関する分科会(以下「分科会」という。)において引き続き議論を行うこととしている。

一の3及び5について

 政府としては、医療機関等が仕入れに要した消費税負担分に対し、全体として診療報酬において適切に対応してきているが、特に高額な投資を行っている個々の医療機関にとっては負担感があるといった意見があることは承知している。
 医療に係る消費税については、社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律(平成二十四年法律第六十八号)第七条第一号トにおいて、「医療機関等における高額の投資に係る消費税の負担に関し、新たに一定の基準に該当するものに対し区分して措置を講ずることを検討し、医療機関等の仕入れに係る消費税については、診療報酬等の医療保険制度において手当をすることとし、医療機関等の消費税の負担について、厚生労働省において定期的に検証を行う場を設けることとするとともに、医療に係る消費税の課税の在り方については、引き続き検討する」こととされていることを踏まえつつ、検討してまいりたい。

一の4について

 御指摘の「見える化」については、平成二十六年十二月三十日に与党が取りまとめた「平成二十七年度税制改正大綱」(以下「税制改正大綱」という。)も踏まえ、分科会において、今後議論を行うこととしている。

二について

 簡易課税制度は、中小事業者の事務負担等に配慮する観点から設けられている制度であるが、これまでも、累次の税制改正により、中小事業者の納税実務の実態も踏まえつつ、適用上限の引下げ等、課税の適正化の観点から見直しを行ってきたところである。
 簡易課税制度を含む中小事業者に対する特例の在り方については、課税の適正化の観点、中小事業者の事務負担に与える影響等も踏まえつつ、引き続き、必要な検討を行ってまいりたい。

三について

 事業税における社会保険診療報酬に係る課税の特例措置については、参議院における修正により追加されたものであることもあり、御指摘の「非課税とされてきた理由付け」について、お尋ねの「政府の認識」をお示しすることは差し控えたいが、税制改正大綱において、「事業税における社会保険診療報酬に係る実質的非課税措置及び医療法人に対する軽減税率については、税負担の公平性を図る観点や、地域医療の確保を図る観点から、そのあり方について検討する」とされており、政府としては、与党における検討も踏まえて対応してまいりたい。