質問主意書

第189回国会(常会)

答弁書


答弁書第三三七号

内閣参質一八九第三三七号
  平成二十七年十月六日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員牧山ひろえ君提出国民の住宅取得環境の改善策に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員牧山ひろえ君提出国民の住宅取得環境の改善策に関する質問に対する答弁書

一について

 住宅の取得については、取引価額が高額であること等から、消費税率の引上げの前後における駆け込み需要及びその反動等による影響が大きいことを踏まえ、一時の税負担の増加による影響を平準化し、及び緩和する観点から、様々な措置を講じているところである。代表的なものとしては、平成二十六年一月一日から平成三十一年六月三十日までの間の措置として、住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除等の延長及び拡充をするとともに、平成二十七年一月一日から平成三十一年六月三十日までの間の措置として、直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置の延長及び拡充をしたところである。また、平成二十六年四月一日から平成三十一年六月三十日までの間の措置として、住宅取得等に係る給付措置を講じているところである。

二について

 御指摘の「登記事項証明書等の交付手数料等を引き下げること」については、不動産登記法(平成十六年法律第百二十三号)第百十九条第三項の規定により、登記手数料の額は、物価の状況、登記事項証明書の交付に要する実費その他一切の事情を考慮して政令で定めるとされているところ、これまでも当該規定にのっとって適時に見直しを行っており、直近では、平成二十五年四月一日に引下げを実施しているところである。
 また、御指摘の「インターネット登記情報提供サービスによって提供される登記情報について、法務局の窓口にて交付される登記事項証明書と同様の証明機能を付与すること」については、御指摘の「証明機能を付与すること」の意味するところが必ずしも明らかではないが、仮に当該情報に電子署名を行い、電子証明書を併せて送信するなどの措置により証明機能を付与するとした場合には、当該情報の流通先においても当該電子署名の検証及び電子証明書の有効性の確認を行う必要があるなどの負担が生じ、また、同サービスに係る提供側のシステム開発などに相当の経費を要し、ひいては登記手数料の引上げにもつながりかねないなど、御指摘のような「不動産流通コストの軽減及び取引の円滑化を図る」ことにはならないのではないかと考えている。

三について

 不動産に抵当権等の担保権が設定され、それが登記されている場合には、当該不動産を売却しても、担保権者が担保権の消滅に同意しない限り、担保権は消滅しないのが原則である。
 お尋ねの「複数の担保権等が設定されている不動産の任意売却を促進」するための「具体策」として右の原則の例外を認めることについては、担保権者の権利利益に十分な配慮をする必要があること等から、慎重な検討が必要であると考えている。

四の前段について

 平成二十八年度税制改正要望事項として、空き家の発生を抑制するための特例措置の創設について、国土交通省が要望しており、今後、政府において議論を行うところである。

四の後段について

 空き家の発生抑制及び有効活用を図るため、空家等対策の推進に関する特別措置法(平成二十六年法律第百二十七号)第六条第一項の空家等対策計画に基づき市町村が実施する空家等の除却又は活用への支援とともに、空き家を含めた既存住宅の流通を促進するため、既存住宅の現況検査の普及や長期優良化のための改修への支援等を進めているところである。