質問主意書

第189回国会(常会)

答弁書


答弁書第二九六号

内閣参質一八九第二九六号
  平成二十七年九月二十九日

内閣総理大臣臨時代理           
国務大臣 麻生 太郎   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員牧山ひろえ君提出PKO法改正と国外犯処罰規定等に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員牧山ひろえ君提出PKO法改正と国外犯処罰規定等に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねの「現在展開中の十六件の国連PKO活動」のうち、平成二十七年九月十九日に成立した我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律による改正後の国際連合平和維持活動等に対する協力に関する法律(平成四年法律第七十九号。以下「改正PKO法」という。)第三条第五号ト及びラに掲げる業務に相当するものを実施できないことが理由で参加を見送ったものはなく、また、国際連合平和維持活動への今後の参加については、我が国が適切に対応することが可能な分野であるかどうか等の観点から、現地調査の結果や国際連合の意向も踏まえて総合的に判断することとなるため、一概にお答えすることは困難である。

二について

 今般の法改正に当たり、お尋ねの「緊急時の保護への期待」について、個別の機関や団体からの要望を確認してはいないが、そのような期待を表明している団体もあるものと承知している。
 また、お尋ねの「自衛隊が活動関係者から緊急の要請を受けた事例」について、件数の集計は行っていないが、例えば、平成十四年に東ティモールにおいて暴動が発生したとき、現地に住む邦人に保護を求められた事例がある。

三について

 国際連合平和維持活動等に従事する他国の軍隊の部隊の要員は、改正PKO法第三条第五号ラに規定する活動関係者に該当し得るが、これまでにそのような要員の保護を自衛隊が要請された例は承知していない。
 改正PKO法第三条第五号ラに掲げる業務は、改正PKO法に定める要件及び手続に従い、また、適切に安全を確保しつつ、緊急の要請に対応して行うものであり、「自衛隊が当該部隊等とテロリストとの対立関係に巻き込まれる」及び「自衛隊がテロリストの次なるターゲットと目される」との御指摘は当たらないと考えている。

四について

 国際平和協力業務に従事する自衛官による武器の使用は、改正PKO法に定める要件に該当する場合にのみ許されるところ、自衛官がそのような場合に直面する蓋然性について、一概にお答えすることは困難である。

五について

 改正PKO法に基づき自衛隊が行うことができる活動は、戦闘行為に何ら関係するものではなく、また、武器の使用は厳格な要件を満たした場合に限られ、かつ、正当防衛又は緊急避難に該当する場合を除いては人に危害を与えてはならないとされているなど、御指摘の「アフガニスタン戦争やイラク戦争」における米国の活動とは性格の異なるものであるため、比較するのは適当ではなく、いずれにせよ、自衛官による武器の使用については、厳しい教育訓練を行うこと等により、御指摘の「一般の現地住民に対して危害を加える事態」その他不適切な行動や事故がないようにすることとしている。