質問主意書

第189回国会(常会)

答弁書


答弁書第二八五号

内閣参質一八九第二八五号
  平成二十七年九月二十五日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員藤末健三君提出我が国が武力攻撃を受けた場合に、攻撃を行った側の国への後方支援活動に対して自衛隊が攻撃できない理由に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員藤末健三君提出我が国が武力攻撃を受けた場合に、攻撃を行った側の国への後方支援活動に対して自衛隊が攻撃できない理由に関する質問に対する答弁書

一、三及び四について

 国際連合憲章(昭和三十一年条約第二十六号。以下「国連憲章」という。)第二条4は、「すべての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない」と規定しているが、その例外の一つとして、国連憲章第五十一条の規定により個別的自衛権に基づき武力を行使することは認められている。
 我が国への武力攻撃を行っている国に対して補給、輸送等の支援活動を行う他の国に対し、我が国が「武力の行使」を行うことの可否については、個別具体的な状況に即して判断する必要があるが、当該支援活動を行う他の国の行為が、我が国に対する武力攻撃を構成すると認められない場合には、我が国は、当該支援活動を行う他の国に対して同条に規定される個別的自衛権に基づき「武力の行使」を行うことはできない。他方、当該支援活動を行う他の国の行為が、我が国に対する武力攻撃を構成すると認められる場合には、我が国は、当該支援活動を行う他の国に対して同条に規定される個別的自衛権に基づき「武力の行使」を行うことが可能となる。
 御指摘の中谷国務大臣の答弁は、このような国際法上の考え方を述べたものであり、「我が国の防衛上大きな問題になる」又は「我が国の防衛に大きな足かせをかけることになり大きな問題となる」とは考えていない。

二について

 国際法上「戦闘行為」との用語について、確立された一般的な定義があるとは承知していない。なお、御指摘の中谷国務大臣の答弁は、自衛隊が行ういわゆる後方支援と言われる支援活動それ自体は、国際法上は、国連憲章第二条4で禁止されている「武力の行使」に当たらないことを説明する過程において、一般に戦闘行為とは何かについて国内法上の定義に触れつつ説明したものである。