質問主意書

第189回国会(常会)

答弁書


答弁書第二五五号

内閣参質一八九第二五五号
  平成二十七年九月四日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員川田龍平君外一名提出福島県外における健康調査に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員川田龍平君外一名提出福島県外における健康調査に関する質問に対する答弁書

一及び五について

 東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律(平成二十四年法律第四十八号)第十三条第二項後段については、被災者生活支援等施策の推進に関する基本的な方針(平成二十五年十月十一日閣議決定。以下「基本方針」という。)において、「法第十三条に基づく施策について・・・適切に支援地域及び対象者を設定の上、実施されるものである」としており、支援すべき地域及び対象者を定めつつ、適切に施策を実施するものと解釈している。
 このため、同項の趣旨を踏まえると、地域で計測される放射線量のみならず、東京電力株式会社福島第一原子力発電所事故(以下「事故」という。)の初期の内部被ばくの状況なども勘案した上で、地域ごとの被ばく線量を評価し、その上で支援すべき地域及び対象者を設定し、施策を進めることが重要であると認識している。
 また、同項の趣旨を踏まえ、事故の後の健康管理の現状や課題を把握し、今後の支援の在り方を検討するために開催された「東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議」の中間取りまとめ(以下「専門家会議中間取りまとめ」という。)においては、被ばく線量の実測値や国内外の専門家による推計値を評価した上で、「UNSCEAR等の国際的な評価も踏まえ、専門家会議としては、甲状腺がんを含めたがんについては従来から取り組まれてきたがん対策を着実に進めることが重要」とし、「がん罹患情報を把握し変動をモニタリングすることも住民の健康を見守っていくという観点から重要」とされ、また、「県民健康調査「甲状腺検査」が実施されてきたことは適切な対応であり、今後も継続していくべきものである」とし、福島県の近隣県における甲状腺検査の実施については、症状のない小児に一律に検査を実施することにより生ずる問題等を踏まえ、「施策として一律に実施するということについては慎重になるべきとの意見が多かった」とされている。
 このようなことから、同項に規定する放射線による健康への影響に関する調査についての必要な施策としては、福島県の県民健康調査及び平成二十七年二月に公表した「東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議の中間取りまとめを踏まえた環境省における当面の施策の方向性」に示した「福島県及び福島近隣県における疾病罹患動向の把握」がこれに該当するものと解しており、前者については福島県、後者については福島県及び福島県の近隣県を基本方針における支援地域として、適切に実施している。

二について

 福島県県民健康調査検討委員会甲状腺検査評価部会の甲状腺検査に関する中間取りまとめ(以下「評価部会中間取りまとめ」という。)においては、「わが国の地域がん登録で把握されている甲状腺がんの罹患統計などから推定される有病数に比べて数十倍のオーダーで多い。この解釈については、被ばくによる過剰発生か過剰診断(生命予後を脅かしたり症状をもたらしたりしないようながんの診断)のいずれかが考えられ、これまでの科学的知見からは、前者の可能性を完全に否定するものではないが、後者の可能性が高いとの意見があった」とされていると承知している。また、専門家会議中間取りまとめでは、「成人に対する検診として甲状腺超音波検査を行うと、罹患率の十~五十倍程度の甲状腺がんが発見される」とされており、「「先行検査」で発見された甲状腺がんについて、・・・原発事故由来のものであることを積極的に示唆する根拠は現時点では認められない」と指摘されている。
 このようなことから、政府としては、評価部会中間取りまとめについては、専門家会議中間取りまとめの指摘と同様に、福島県の県民健康調査「甲状腺検査」の先行検査で発見された甲状腺がんについて少なくとも事故由来以外のものである可能性が高いことを示しているものと考えている。

三について

 御指摘の①については、御指摘の「関東一円」、「栃木県の同時期の実測データ」及び「降雨のあった地域では地表に沈着した」の意味するところが必ずしも明らかではないため、お尋ねについてお答えすることは困難である。
 御指摘の②については、御指摘の「濃度が高い放射性ヨウ素一三一」の意味するところが必ずしも明らかではないため、お尋ねについてお答えすることは困難である。
 御指摘の③については、御指摘の平成二十四年三月十一日に放映された内容について承知していないため、お尋ねについてお答えすることは困難である。
 御指摘の④については、御指摘の「栃木県北部の市町村における被ばく量は福島県の市町村と比較しても決して少なくない」の意味するところが必ずしも明らかではないため、お尋ねについてお答えすることは困難である。

四について

 御指摘の「いわゆる「過剰診断」論」の意味するところが必ずしも明らかではないため、お尋ねについてお答えすることは困難である。