質問主意書

第189回国会(常会)

答弁書


答弁書第二四二号

内閣参質一八九第二四二号
  平成二十七年八月二十五日
内閣総理大臣 安倍 晋三   


       参議院議長 山崎 正昭 殿

参議院議員藤末健三君提出「「現に戦闘行為を行っている現場」ではない場所」と従来の「非戦闘地域」の相違点に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。



   参議院議員藤末健三君提出「「現に戦闘行為を行っている現場」ではない場所」と従来の「非戦闘地域」の相違点に関する質問に対する答弁書

一及び二について

 衆議院議員岡田克也君提出集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈の変更等に関する質問に対する答弁書(平成二十七年一月九日内閣衆質一八八第一号)四の1についてでお答えしたとおり、御指摘の「「現に戦闘行為を行っている現場」ではない場所」といわゆる「非戦闘地域」とは異なるが、その上で、現在、国会に提出している我が国及び国際社会の平和及び安全の確保に資するための自衛隊法等の一部を改正する法律案による改正後の重要影響事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律(平成十一年法律第六十号)及び国際平和共同対処事態に際して我が国が実施する諸外国の軍隊等に対する協力支援活動等に関する法律案(以下「重要影響事態法等」という。)においては、防衛大臣は、自衛隊の部隊等が後方支援活動等を円滑かつ安全に実施することができるように当該後方支援活動等を実施する区域(以下「実施区域」という。)を指定するものとしているところ、本年六月一日の衆議院我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会における御指摘の中谷国務大臣の答弁は、この実施区域を実際に指定するに当たっては、現に戦闘行為が行われておらず、自衛隊の部隊等が現実に後方支援活動等を行う期間について戦闘行為が発生しないと見込まれる場所を指定するとしたものであり、これらの説明は何ら矛盾するものではないと考える。

三から五までについて

 一及び二についてで述べた防衛大臣による実施区域の指定に加えて、重要影響事態法等においては、実施区域の全部又は一部において、自衛隊の部隊等が後方支援活動等を円滑かつ安全に実施することが困難であると認める場合における防衛大臣による活動の中断命令や、当該後方支援活動等を実施している場所又はその近傍において戦闘行為が行われるに至った場合等における当該後方支援活動等の一時休止といった措置を定めているところ、このような仕組みにより、自衛隊の部隊等が攻撃を受けない安全な場所で活動を行うことが確保されることについて、従来と変更はなく、御指摘のように「攻撃の対象となり大きなリスクを負うことになる」とか「自衛隊員に対するテロ攻撃等のリスクは限りなく高くなる」とは考えていない。
 また、お尋ねのように「戦闘地域」を「現に戦闘行為が行われている現場」という意味で用いるならば、右に述べたとおり、自衛隊の部隊等が後方支援活動等を実施している場所又はその近傍において戦闘行為が行われるに至った場合、当該後方支援活動等を一時休止するなどして危険を回避するものとされているため、御指摘の「戦闘地域の近くで活動すること」はないが、お尋ねの「どの程度の距離が離れていれば活動が可能なのか」については、個別の状況に応じて判断すべきものであり、一概にお答えすることは困難である。
 さらに、お尋ねの「実施区域と戦闘地域の線引き」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではなく、お答えすることは困難である。